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花き振興条例、「十勝の花」の消費拡大にも期待

ユリの出荷作業をする山西会長。「十勝の花」の認知度アップに期待している

 道の花き振興条例や「北海道花の日」(8月7日)の制定を受け、管内の切り花生産者らは「十勝の花」の認知度が向上することに期待を寄せている。畑作と畜産が圧倒的に主力の十勝で、花き栽培は地域農業の多様性を示す存在。お盆前から秋の彼岸にかけてはユリなどの出荷が最盛期を迎えており、生産者が収穫や箱詰め作業に精を出している。

 道内は冷涼な気候を生かした花の産地。7月からの3カ月間は出荷最盛期で年間の6割以上が集中する。盛夏の本州に比べて管理がしやすく、好品質の花が生産できるため、お盆や冠婚葬祭向けに全国から需要がある。道内では空知地方で栽培が盛んだ。

 十勝は道内でも生産量は少ない地域だが、それでも切り花ではカーネーション、トルコギキョウ、ユリ、カラー、デルフィニウムなど年約42万本を生産する。地元の帯広地方卸売市場の他、JA木野、JA十勝池田町の直売所、関東や関西方面の市場などに出荷している。

 管内の花き生産者でつくる「とかち花き研究会」(山西心豪会長)は、14戸が新たな品種導入に向けて情報交換。多くが畑作との兼業でハウス栽培を行っている。会員数は発足した15年前の約40戸から半減したが、帯広市太平町でユリを栽培する山西会長(39)は「価格変動は大きいが人の喜ぶ顔が見られる花作りを誇りに思う」と胸を張る。

 営農指導する十勝農業改良普及センター東部支所も、「花に情熱やこだわりを持つ人が作り続けている」とする。

 花きの年間産出額は花壇用苗を含めても約8000万円で、全体で3500億円を超す十勝農業でのウエートは小さい。切り花は少しでも品質が落ちると出荷ができず、栽培には技術力と手間が必要だ。

 ジャガイモや小麦と共に花も生産する音更町の農業波佐康弘さん(41)は「花生産もあることが十勝農業の引き出しの多さ、多様性だと思う」と強調。山西会長は条例と花の日制定を歓迎し、「消費者に北海道の花、十勝の花があることを知り、使ってもらいたい」と話している。(安田義教)

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