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NPO法人スマイルリングが十勝学園の卒業生支援

一軒家で夕食を囲む(向こう左から)平馬さん、堀田理事長、しんごさん、ゆうきさんと卒業生たち。楽しい時間に笑顔が絶えなかった(新井拓海撮影)

 児童養護施設・十勝学園(帯広市、餌取史泰園長)の子どもたちの自立支援を行うNPO法人スマイルリング(幕別町、堀田豊稔理事長)は、卒園後に行き場を失った若者の自活を支援している。生活が安定するまでの住居を提供し、現在は3人が帯広市内の一軒家で共同生活を送る。「一度つまずいても戻ってこられる場所に。学園とも連携して支えていければ」(堀田理事長)としている。

 十勝学園は社会福祉法人池田光寿会が運営。子どもたちは主に高校卒業や20歳になった時に退所する。ただ、卒園した若者は親を頼ることができない場合、成人まで保証人が必要なアパートなどを借りることができない。仕事は住み込み可能なところを選ばざるを得ないケースもあり、「仕事の幅が狭まる」と堀田理事長は話す。

 支援の拠点となる住居は、スマイルリングの活動に賛同する平馬さとみさんが住んでいた家を、日本財団の助成を受けて購入した。平馬さんはがん闘病中で、現在は札幌市を拠点に「キャンサーサポート北海道」で講演活動などに取り組む。家は平馬さんの厚意で家具などがほとんど残され、すぐにでも生活できる環境が整っていた。

 この家で9月から暮らすのが、ゆうきさん(19)、しんごさん(20)、ゆうやさん(19)の3人。いずれも十勝学園退所後に就職したが、訳あって退職。今後の生活に悩んでいたところ、堀田理事長に救われた。

 現在は共同生活を送りながら、ゆうきさん、しんごさんは道路工事会社、ゆうやさんは飲食店で働く。仕事は朝早くからで苦労もあるが、しんごさんは「生活を安定させて貯金もしたい」、ゆうきさんも「感謝している。仕事は本当にありがたいし頑張りたい」と話す。最近、仕事が決まったゆうやさんは「落ち着いたら家を借りたい。将来は店を持てるまでになれれば」と前を向く。

 8日には平馬さんや堀田理事長、十勝学園卒業生らが一軒家を訪れ、夕食を囲んだ。メニューはすき焼きで、食事後には平馬さんと堀田理事長の誕生日を祝う手作りケーキのサプライズも。家族団らんのようなひとときに、終始、笑顔が絶えなかった。

 「今後は冬は近所の除雪を手伝ったり、地域ともつながりをつくっていきたい」と3人。堀田理事長は「たくさんの方々やメンバーの支援があって活動できている。失うものが何もない、どうなってもいいやという思いでなく、一緒に笑って過ごす時間を通じ、自分自身も大人として背中を見せていきたい」と3人の再出発を応援している。
(松田亜弓)

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