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多収の高糖分型品種 てんさい「HT39」

北見農業試験場 研究部 地域技術グループ
十勝農業試験場 研究部 地域技術グループ
中央農業試験場 作物開発部 作物グループ
上川農業試験場 研究部 地域技術グループ
(一社)北海道てん菜協会


1.背  景
 てんさいの根中糖分の高低は、収入に大きく影響する。そのため低糖分になりやすい圃場では、高糖分型品種が多く導入されてきた。また近年、根中糖分が大きく低下する年が多く、その主な原因は夏から秋にかけての高温傾向であると考えられている。今後も温暖化傾向が進み、低糖分となる年が増えると予想されるので、高糖分型品種の重要性が高まってきている。
 平成24年に優良品種となった「クリスター」は高糖分型である。しかし、根重型の主力品種と比較すると糖量が及ばないため、近年普及面積が減少傾向にある。一方、「HT39」は「クリスター」並の高糖分でありながら、糖量が根重型の主力品種並に向上している。また「HT39」は、そう根病、黒根病抵抗性が強く、ほぼ「クリスター」並の耐病性を持つ。
 以上のことから、「HT39」を「クリスター」に置き替えて普及させることで、てんさい生産と農家所得の安定と向上に寄与できる。

2.育成経過
 スウェーデンのシンジェンタ種子会社が育成し、平成25年に北海道糖業株式会社が輸入した。平成26年から道総研(北見農試、十勝農試、中央農試、上川農試)、北海道てん菜協会(ホクレン、北海道糖業、日本甜菜製糖)で各種試験を実施し、平成29年に北海道の優良品種に認定された。

3.特性概要
1)収量性
   「HT39」の収量性は、標準品種「アマホマレ」比で、高糖分型の置換対象品種「クリスター」に対して、根重が4ポイント多く、根中糖分がほぼ並で、糖量が3ポイント多い(表1)。高糖分型で多収であり、糖量は、根重型の主力品種「アンジー」(「アマホマレ」比107%(H26-28全道平均))に近い。
2)病害抵抗性
   そう根病抵抗性は「クリスター」同様 “強”、褐斑病抵抗性は“強”に対して“やや強”、根腐病抵抗性は “やや弱”に対して“弱”、黒根病は “やや強”と同様である。全体的に病害抵抗性はほぼ「クリスター」並である。抽苔耐性は“強”(表2)である。また各地の慣行防除圃場での病害発生状況は、褐斑病、根腐れ症状(根腐病、黒根病等)とも、ほぼ「クリスター」並であった(表3)。
3)製糖品質
  製糖効率に関係する不純物価には「クリスター」と大きな差はなく、製糖品質はほぼ並である(表4)。
4)形態
   形態については「クリスター」と比較して、草姿は “やや開平”で同様、草長は“中”で同様。根形は “円錐”に対して“やや短円錐”、根周は “中”に対して“やや大”である(表5)。

4.普及態度
 適地は北海道一円で、普及見込面積は5,000haである。栽培上の注意は、根腐病抵抗性が“弱”であるため、適正な防除に努める。







詳しい内容については、次にお問い合わせ下さい。
道総研十勝農業試験場
電話(0155)62-2431 E-mail:tokachi-agri@hro.or.jp

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