JAXA、超小型タンデム気球を放球 大樹
【大樹】宇宙航空研究開発機構(JAXA)は25日未明、町多目的航空公園内の大樹宇宙実験場で2つの異なる気球を組み合わせた「超小型タンデム気球」を放球した。長時間滞空ができる気球の実現に向け、昼夜の温度差による高度の変化などを測定した。
JAXAは昼夜の気温差によるヘリウムガスの膨張・収縮で複数の高度で科学観測できるタンデム気球の実験を行っている。現在開発中の気球を密閉してヘリウムガスを閉じ込めた「スーパープレッシャー(SP)気球」と、下部に穴が空いていてヘリウムガスが抜けていく通常の「ゼロプレッシャー気球」をつなげ、大樹では2011年に1度、放球している。
今回は前回同様、ゼロプレッシャー気球の役割を果たすゴム気球(直径11メートル、体積700立方メートル)2個に、SP気球を(同3メートル、同10立方メートル)をつり下げて実施した。
気球は放球後、予定通り高度23キロまで上昇。日の出とともに高度25キロまで再浮上し、午前5時半ごろ同実験場南東約80キロの太平洋上に着水した。JAXAによると高度の変化データの他、SP気球の耐圧性能と30万立方メートルの大型気球に求められる強度を有していることが確認できたという。
今後、取得したデータを解析し、昼夜で高度を変化させながら、より長く滞空できるタンデム気球の開発につなげる。(関根弘貴)