恐竜絶滅の刻印ひっそりと まちマイ浦幌編
恐竜がいた時代を感じられるかもしれない-。
浦幌町川流布(かわるっぷ)にはそんな夢をかなえてくれそうな場所があると聞いて訪ねた。約6600万年前に巨大な隕石(いんせき)がメキシコのユカタン半島に落下し、恐竜、アンモナイトが絶滅したと言われる。その痕跡がはっきりと分かる地層「K/Pg境界」が見えるという。
案内役は町立博物館の持田誠学芸員=写真。浦幌市街地から本別方面に向かって車を走らせた。
上浦幌地区から東へ川流布川の支流・茂川流布川沿いをしばらく進むと、持田さんが「ここです」と指をさした。町立博物館から約1時間かけて到着した山奥。川の左岸にひっそりと案内看板があった。
看板は確認できたが、どこにでも流れているような川にしか見えない。持田さんが川岸に堆積した土砂をスコップで取り除き、持参したバケツで川の水をくんで川岸を洗う。ようやく見えてきた幅約5センチの黒い線。イリジウムを含んでいる黒い石がある「黒色粘土層」の列だ。
「黒色粘土層」より下流が、恐竜が生息した中生代の白亜紀(Kreide)の地層、上流が新生代の古第三紀(Paleogene)の地層。「K/Pg」の名前は両時代の文字から取った。
触ってみると単なる砂利。持田さんは「こんなに貴重な地層が浦幌にあることを知ってもらいたい。ただ実際に見たらがっかりするかも」と笑った。約6600万年前の恐竜絶滅の衝撃に思いをはせた瞬間だった。(関坂典生、写真・塩原真)
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