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広尾高校存続の「試金石」、公設民営塾の開設で支援手厚く

広尾町の「公設民営塾」。広尾高生徒の学力を底上げし、高校存続に向けた「地元進学率」の向上を狙う(8月19日)

 【広尾】広尾町は今年度、広尾高校(田村郁夫校長、生徒数76人)の存続に向け、同校生徒対象の「公設民営塾」を開設するなど支援施策を手厚くした。生徒数の減少で高校が廃校になった場合、「マチの衰退に歯止めがかからなくなる」(田中靖章町長)とし、危機感を抱く町としては「最後の一手」。生徒の学力を底上げして高校の魅力を高め、まずは、広尾中学校からの「地元進学率」を高める考えだ。(松岡秀宜)


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 町は生徒数の確保に向けた支援策「広尾高校サポートプラン13」を展開している。今年度は新たに公設民営塾のほか、地元の歴史や産業を学ぶ「広尾地域学」の充実に向けて魅力向上推進コーディネーター(地域おこし協力隊)を配置、全国募集を見据えて下宿事業者への助成を追加した。予算額は総体で2800万円に上る。

 公設民営塾は、町長の肝いりの施策。足寄町が2015年、足寄高校の存続に向けて開設した事例を参考にした。町が中高一貫教育連絡協議会交付金の一部として、700万円を補助する。

 受講無料で、複数の塾生が講義を聴く授業形式ではなく、個々の学力や進路希望に応じた個別指導を行う。全国で同様の塾を展開する「Birth47(バースヨンナナ)」(東京、高橋宏幸社長)が運営を担う。

 習熟度別の個別カリキュラムも作成し、復習、定期試験や大学受験対策、長期休暇中の課題などを個々にサポート。インターネット配信の映像教材も用いる。

 塾に通うことで生徒の学習習慣を定着させるとともに、基礎学力と進学実績を向上させ、最終的には同校の魅力アップにつなげる考え。今年度は夏季・冬季休暇のみの開設だが、生徒や保護者の意見を踏まえ、来年度は「平日開講」も模索する。

 夏季休暇中は、全校生徒(76人)の約3分の1に当たる26人が受講。山岸直宏教育長は「2学期以降、生徒たちの学習意欲と学力の向上につながるはず」と、効果を期待する。

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町内中学生も減 現状は「厳しい」
 広尾高の生徒数はピーク時に526人(1986年)を数えたが、ここ数年の入学者は20~30人台で推移。町内では大学進学を考慮して帯広などの進学校に進む生徒もいるため、地元進学率は40%台後半から50%台後半で推移する。

 広尾中の卒業予定者数は、今後5年間は40人以下が続く見通しで、現状の地元進学率が続くと広尾高入学者数は毎年20人以下となり、「厳しい数字」(町教委)となる。保護者や生徒が望む学力向上の要望に応えられるのか、高校存続の試金石として、公設民営塾の動向が注目されている。


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