十勝発の「森の輪事業」広がる 全国30市町村に達する見通し
【旭川】一般社団法人森の輪(事務局・旭川、馬場拓也代表理事)が実施している「森の輪プロジェクト事業」の参加自治体が今年度、全国30市町村に達する見通しだ。地域の木材を使用したドーナツ型のおもちゃ「森の輪(わっこ)」を新生児に贈る取り組み。帯広出身で道教育大旭川校准教授の馬場さん(33)が、帯広大谷短大専任講師だった2019年に管内の有志と始めた。馬場さんは「ゆっくりした歩みだが、今後さらに広められるよう引き続き頑張っていきたい」と話している。
同事業は、池田町と上士幌町、夕張市の3自治体でスタートして徐々に増え、24年度は全国28市町村(8145個)になった。十勝では池田、浦幌、音更、上士幌、清水、大樹、広尾、幕別、中札内が参加している。今年度2自治体が加わり、配布個数は1万個を超える予定。製品が世界三大デザイン賞の一つといわれるiFデザイン賞(ドイツ)を受賞するなど国内外での評価も高い。
馬場さんは「全国・世界へと広げるスキームで設計していたものの、途中コロナ禍で道外へのPRが思うようにできなかった」と振り返り、「予想していた歩み方ではなかったが、少しずつ広がってきたのはうれしい」と喜ぶ。
子どもの誕生を祝い、新生児に贈り物をする自治体は多いが、「赤ちゃんがその時期すぐ使えるものを贈っているケースは意外と少ない」と馬場さん。「赤ちゃんと保護者に喜んでもらうことを第一に、地域の方と力を合わせて取り組みたい」とする。
同法人は今年度、同事業のほか、自治体や学校と連携したものづくり事業や木育講座など新事業を計画。馬場さんは「思いを伝えるため、しっかり言葉にして発信していきたい」と意欲を語っている。(安藤有紀)