「無言で切らないで」スマホの衝撃検知し自動発信 誤通報で救急活動に影響も
管内19市町村の119番を一括で受理するとかち広域消防局(大石健二局長)への誤通報が相次いでいる。9月末現在の総通報件数1万8488件のうち、誤通報は1320件(いずれも速報値)と、2016年の広域化後、年間を通してすでに過去最多に。同局は「119番の日」(11月9日)に合わせ、「緊急かどうかの確認が必要なので、誤通報しても無言で切らないで」と呼び掛けているほか、正式な通報の際には「落ち着いて利用を」と啓発している。(山田夏航)
「無言で切らないで」
同局における誤通報の大半は、携帯電話から発信されている。携帯電話に衝撃があったり、ボタンを連続で押すと自動通報する機能が作動するケースが多い。今年はすでに前年同期比739件も増加している。
同局は「7月までアンドロイド携帯による誤通報が多発し、1日5、6件ほど来ていた。恐らくOS(基本ソフトウエア)のバージョン更新が起因して急増したと思われるが、アップデートで改善したのか8月以降はほとんど来なくなった」と説明する。
誤通報は円滑な救急活動に大きな影響を与える。無言で切られると、実際に発信された現場に出動し、安否を確認しなければならない場合もあり、他の救急事案の妨げになることも懸念される。情報指令課の杉山知宏課長は「誤って通報したらそのまま切らずに『間違えた』と一言伝えていただきたい」と話す。
また、正式な119番通報でも、慌てて的確に状況を伝えられない通報者も多い。同局は大事なポイントとして、(1)最初に火事か救急かを落ち着いて答える(2)市町村名から住所を答える(3)災害(救急)の内容を詳しく伝える(4)通報者自身の名前、事案との関係性を伝える-の四つを挙げる。
特に(2)ついて正確に連絡するよう、同局は市民に周知している。「十勝管内には同じ名前の地域や自治会が複数ある。119番通報は帯広の指令センターにつながるので、例えば『新町』とだけ言われても帯広や幕別などにあり、どこを指すか分からない。必ず市町村名から伝えていただくようお願いしたい」(同局)
これら四つのポイント以外にも、通報中に煙や火が近くに迫っていたり、異臭やガスの臭いがするなど、少しでも身の危険を感じたときは局員に伝え、安全な場所に避難してから再度119番をかけてほしいと訴えている。