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及川佑の目「待たされた影響あった村上、コーナー世界トップ技術の森重、1000に期待の新濱」北京五輪男子500を分析

 男子500メートルは非常に見応えのあるレースでした。氷の補修によりスタート開始時刻の遅れなど、選手によって心境の違いがそれぞれあったと思います。私自身も過去にレース開始時刻の遅れなどで正確な開始時刻が分からない時などは、気持ちに余裕がなくなったこともあります。

 村上右磨選手は前の組での影響で氷の補修作業があり、少し待たされる展開。スタート開始時刻でも待ち、2度にわたる待ち時間は精神的にも少し影響があったのではないかと思います。スタートの反応と出だしは良かったものの、その後は動きが硬かったように思います。本来の村上選手であれば100メートル通過タイムは9秒4前半は軽く出せるはず。9秒5かかってしまったことで前半にさらに力を使ってしまい、力が入ってしまったのではないかと思います。その中で34秒57の8位入賞は素晴らしい成績。本人はメダルが取れず悔しいとは思いますが、この舞台に立つまでの道のりとオリンピックでのパフォーマンス。自信を持って今後の競技生活につなげていってほしいと思います。

 森重航選手のストロングポイントはコーナーワーク。コーナーのテクニックは世界トップクラスだと思います。最初のコーナーで加速し、バックストレートでさらにスピードを乗せていく。そのスピードを最終カーブでコース取りやテクニックで減速することなく駆け抜けていく。個人的な感情ですが、私もそのテクニックがあればとほれぼれします。

 新濱立也選手は直前のタイムトライアルレースではいい感触、いいタイムで状態も良いと聞いていただけに、大いに悔いが残るレースだったと思います。スタートを構えた時点で右肩と右腕がいつもより少しだけ下がっていたのが気になりました。調子が良い時は前に行きたい気持ちが強くなって気づかないうちに少し低く構えてしまい、上体だけが少し早く行ってしまうことがあります。ただそんな時のスタートでのミスは20回に1回あるかどうかのミスです。もう一度レースをすれば金メダル争いに間違いなく食い込めていたはず。この経験を糧に、まずは気持ちを整理して、次の1000メートルでは大いにチャンスがあると思いますので、思い切ったレースをしてほしいと思います。
(及川佑=トリノ五輪500メートル4位)

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