肺がん検診のCT検査研究に参画 十勝ヘルスケアクリニック
医療法人社団愛和会(札幌、宇野英二理事長)は、日本医療研究開発機構(東京)が取り組む「肺がんCT(コンピューター断層撮影装置)検診の比較試験」(JECSスタディ)に参画し、愛和会が帯広市内で手掛ける十勝ヘルスケアクリニック(柏林台中町1)で無料肺がん検診の提供を始めた。検診を希望する人に無作為でCT検査とX線検査を提供し、どちらの検査方法が有効かを調査する。
JECSスタディはCTによる検診の有用性を研究するもので、愛和会によると、道東の医療機関が参加するのは初めて。
肺がんは、部位別がんの中で日本人のがん死亡者数の第1位を占めている。肺がん検診は胸部X線検査(レントゲン)と喀痰(かくたん)細胞診検査が一般的だが、がんが大きくならないと発見が難しいことなどがネックとなっている。
一方、高精度の画像が撮影できるCTは、小さながんを含めて早期発見が期待できるが、被ばく線量の多さなどが課題だ。
これに対し、JECSスタディでは被ばく線量を通常の10分の1に当たる2ミリシーベルトまで低減した「低線量CT」で調査を実施する。東北医科薬科大学(仙台市)の佐川元保教授がリーダーとなり、全国の病院・研究機関でCT検査とX線検査を行って比較試験を推進している。
十勝ヘルスケアクリニックでは「早期発見できる環境をつくり、道東の肺がんを減らしたい」(宇野理事長)と考え、プロジェクトへの参加を決めた。今後、十勝管内で幅広く検査希望者を受け入れ、JECSスタディの取り組みに貢献するとしている。
無料検査は来年2月19日までの毎週火-金曜に行う。募集人数は1日最大2人まで。参加条件として「50~70歳」「たばこを吸わない」「今まで肺がんにかかっていない」など複数の項目がある。肺がんCT検診無作為化比較試験の予約コールセンター(0120・966・361)に問い合わせ、事前に申し込む必要がある。(奥野秀康)