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出産時の容態急変から母親を救うために 慶愛など3病院が道東初の救命研修

妊婦を救命するためのシミュレーションを繰り返した医師ら参加者

 出産時の容体急変から母親を救うために-。日本母体救命システム普及協議会(J-CIMELS)公認の母体救命研修が22、23の両日、帯広協会病院で開かれた。J-CIMELSの研修が道東で行われるのは初めて。管内で産婦人科を手掛ける帯広厚生病院、帯広協会病院、慶愛病院の医師、看護師、助産師らが参加し、母体急変時の初期対応などを学んだ。

 出産時の容体急変は、死亡にもつながりかねないリスクをはらんでいる。多量の出血、脳卒中、羊水塞栓症などが原因となり、1990年代には全国で年間400件の妊産婦死亡が発生したと言われている。

 現在は救命システムの高度化などにより、その数は年40~50件程度まで減少している。十勝の場合、体調の安定した母子の出産を手掛けることが多い慶愛病院は妊産婦死亡に直面したことはないというが、「2、3年に1度は危険を感じる事例が発生している」(廣瀬一浩院長)という。

 このため慶愛病院が呼び掛ける形で研修を主催。管外から母体救命研修のインストラクターを担当できる医師、看護師らを招いて実施した。協会病院は会場、厚生病院は機器の貸し出しなどで協力した。

 研修は子宮破裂、羊水塞栓症などの症例を想定。参加した医師、看護師、助産師がそれぞれ異なる役柄を担当し、救命対応に当たるシミュレーションを繰り返した。慶愛病院から参加した助産師の柴田三知子さんは「教科書で見るのと、実際に緊急対応をやってみるのは全然違う。訓練でも事前に経験しておくのが大事と感じた」と語った。

 3病院の産科医らは今後、十勝でインストラクターを担当できる人材の育成を目指す。「管内をはじめ道東の幅広い病院に参加を呼び掛け、道東で実践的な母体救命を学べる環境をつくりたい」(廣瀬院長)としている。(奥野秀康)

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  • 管内の医師、看護師、助産師らが、容態が急変した妊婦を救命するシミュレーションを繰り返した

    管内の医師、看護師、助産師らが、容態が急変した妊婦を救命するシミュレーションを繰り返した

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