乳がん検診の高度化に挑む北斗・難波医師 活動が海外で注目
北斗病院(帯広、鎌田一理事長)の乳腺・乳がんセンターに所属する難波清医師(71)の活動が海外で注目を集めている。難波医師は乳がん検診を高度化するため、米国の医療機器会社が手掛ける人工知能(AI)搭載の超音波検査機の開発に協力している。これを昨年12月に米シカゴで開かれた北米放射線学会で紹介し、乳がんで死亡する女性を救う画期的な研究として評価されたという。
マンモグラフィー(エックス線撮影)が中心となる現在の乳がん検診では、アジア人の若い女性に多いとされるデンスブレスト(高濃度乳腺)のために乳がんを見落としてしまうことが多い。このため、超音波検査の併用が推奨されているが、超音波は検査者のスキルによって結果が左右されたり、過剰診断のリスクが付きまとう。
最先端機では、検査者のスキルに依存しない高精度の超音波検査機が登場している。ただ、それでも画像診断に時間がかかったり、オペレーターの疲労が見落としにつながったりする課題が残っていた。
これに対し、難波医師が米社と共に開発する新型の超音波検査機は、AIが腫瘍を自動判別することで、画像の読影時間を従来の3分の1に短縮できる。昨年12月1日の北米放射線学会では難波医師が最初の講演者として登壇し、この研究成果を説明。超音波検査に付きまとうリスクを払拭(ふっしょく)し、乳がん検診を格段に進化させる取り組みとして受け入れられたという。
難波医師は「現在、北斗の乳腺外科ではこのAI搭載機器をアジア太平洋地域で最も早く導入し、研究を進めている。今後1、2年以内に日本全国の医療の現場に届ける環境が整うはずなので、期待してほしい」と話している。(奥野秀康)