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日本残留瀬戸際も「勝ちにいく」 U18女子アイホケ世界選手権

【7、8位決定戦第1戦・日本―チェコ】第2ピリオド、チェコの攻勢に対して懸命にゴールを守る日本

 アイスホッケーの女子U18世界選手権(国際アイスホッケー連盟主催)第4日は10日、帯広の森アイスアリーナと帯広の森スポーツセンターで、決勝トーナメントの準々決勝2試合と7、8位決定戦を行った。日本(予選グループB4位)はチェコ(同3位)と残留を懸けた初戦を戦い0-6で完封負けした。7、8位決定戦は3戦で先に2勝したチームがトップディビジョンに残留し、負けるとディビジョン1(2部相当)に降格する。決勝トーナメントはフィンランドとロシアが準決勝に駒を進めた。スウェーデンとスイスは5、6位決定戦に回る。大会は11日の休養日を挟み、12日に準決勝などを行う。残留へ瀬戸際に追い込まれた日本は午後2時半から同アリーナでチェコと7、8位決定戦の第2戦に臨む。(岡田優人、北雅貴、新井拓海)


◇7、8位決定戦
▽第1戦

チェコ(1勝) 6(2-0 2-0 2-0)0 日本(1敗)
▽得点
【チ】
(1)カルトゥンコヴァ→ペイソワ(1P3分7秒)
(2)ダイクコヴァ→セロイスコヴァ→シュクルドロヴァ(1P4分6秒)
(3)カルトゥンコヴァ→マザンコヴァ(2P15分25秒)
(4)カルトゥンコヴァ→ハアソヴァ→マザンコヴァ(2P16分58秒)
(5)カジャノヴァ→ダイクコヴァ→ムリンコバ(3P6分49秒)
(6)セロイスコヴァ→ハンズリコヴァ(3P14分52秒)
▽反則
【チ】1(ペイソア)
【日】4(輪島、堤京、山下、鈴木)
▽シュート数
【チ】26(11、9、6)
【日】9(4、3、2)

【7、8位決定戦第1戦・日本―チェコ】第3ピリオド、パスを通す日本のFW牛尾あずき(右)

スピード生かしチームに勢い FW牛尾
 FW牛尾あずき(16)=帯広レディース、帯農高2年=がスピードを生かしたプレーでチームに勢いを与えた。

 「自分は背の小さいプレーヤー。その分スピードで戦わないといけない」。身長152センチでチームの中では下から数えて2番と小柄な選手だが、サイズの上の相手にも果敢に向かった。

 FW園家唯(17)=同、清水高同=との連係プレーも光った。ベンチで「足を動かしてゴールに向かっていこう」と声を掛け合い、第3P終盤には中盤で2人のパス交換からチャンスをつくり出した。

 牛尾は「チャンスはあったが決め切れなかったのが悔しい」と自分のプレーを反省しながらも、次戦に向け「最初から日本の持ち味であるスケートをして、絶対勝ちたい」と巻き返しを誓った。

試合後に右膝に氷を当てながら、悔しい表情でインタビューに応じる日本のFW志賀紅音主将

「勝ちにいく気持ち」 志賀
 「気持ちは入っていたが体がついていかなかった」。飯塚祐司監督が指摘するように日本は多くのプレーでワンテンポ遅れていた。

 第1ピリオド(P)3分と4分に立て続けに失点。第2Pに3点目を奪われ、前に出ないといけない日本に対し余裕を持ったチェコに優位に試合を運ばれた。

 それでも光るプレーはあった。第2Pにはゲームベストプレーヤーに選ばれたFW輪島夢叶(駒大苫小牧高1年)がスピードを生かして攻め上がり、パスを受けたFW堤萌香(釧路明輝高3年)が惜しいシュートを放つなど見せ場もつくった。3点を追う16分には輪島の仕掛けを起点にした攻撃が相手の反則を誘いペナルティーショット(PS)を獲得。志賀主将のシュートは得点には至らなかったが、攻める姿勢を貫いた。

 対戦前日の9日夜に日本よりも遅い時間帯での試合があったチェコに対し、飯塚監督は「有利な点は若干あるのかなと思ったが…。足が動かない中でも上半身の使い方がチェコの選手はうまい」と話した。運動量では日本が上回ったものの狭いエリアでのバトルで勝てず混戦から得点された。

 今季はヨーロッパトーナメント(昨年11月・ドイツ)に参戦するなど海外勢とは試合慣れしたが、得点力やシュート力の部分で課題が残っている。飯塚監督も「突破口(を見いだす力)のあるシュートではなく、何となく届くイージーなシュートで終わってしまっている」と指摘する。

 残留にはもう1敗も許されない瀬戸際に追い込まれた。志賀主将はチェコの分厚い攻めを止め切れなかった点を反省し、「あす(11日の休養日)はリフレッシュして、次は絶対に勝ちにいく気持ちで頑張る」と気を引き締めた。

試合後に握手を交わし互いの健闘をたたえ合うロシアのGKダリア・グレーゼン(左)とスイスのGKサスキア・マウラー

ロシア追い込む スイス
 スイスは豊富な運動量と強い精神力でロシアを追い詰めた。スティーブ・ユアール監督は「皆の足が最後まで動いた。小国が大国と戦うために必要。勝てば初のメダルの可能性もあったのでモチベーションも高かった」と穏やかに話した。

 大会屈指のGKの1人、サスキア・マウラーの堅実なセービングを中心に、ロシアの猛攻に耐え続けた。畳み掛けるような攻撃はできなかったものの、FWローラ・ジマーマンらが攻守に精力的に動いた。1点を追う第3P残り4分を切ったパワープレー。右サイドからのパスをDFララ・クリステンがダイレクトでシュートし同点に。数少ない好機を生かす勝負強さを見せた。

 スタンドからは力強い声援が後押し。グループBの試合から、劣勢でも一致団結し諦めない姿勢を貫くプレースタイルは、今大会の陰の主役だ。ユアール監督は「若いチームが瞬間瞬間で上達してきた。努力が成果として表れて監督として幸せ。才能の集まりではないが闘志と戦略を持って戦えている」と目を細めた。

集中して緊張なく堂々とゴール死守 スイスのGK
 スイスのGKサスキア・マウラーが獅子奮迅の働きで好ゲームを演出した。第1P10分に、1人少ないキルプレーでシュートリバウンドをたたき込まれたものの、鋭い反応と的確なポジショニングでシュートを防ぎ続けた。敗戦の悔しさで涙目になりながら「集中して、緊張も感じなかった。良い働きはできたと思う」とつぶやいた。

 今大会は4試合で123本のシュートを浴び、失点は6。セーブ率95・12%は堂々の1位だ。フル代表の合宿に何度も参加し、将来のスイスを背負う期待を持たれる17歳。スティーブ・ユアール監督は「マスクを装着して、パックを止める。純粋に自分の仕事を何度も何度もできる。常に冷静」と信頼を置く。

 平昌五輪の正GKで名手のフローレンス・シェリング・アシスタントコーチに憧れる。マウラーは「(まずは)代表に入りたい」と話した。

延長戦は得点許さず ロシア
 ロシアが苦しみながらも2大会ぶりに4強入りした。パスやレシーブの正確性、スケーティング、シュートの力強さでスイスを上回り、試合を優位に展開した。

 第3P16分、GKのダリア・グレーゼンの視界を前にいた味方が一瞬遮り、シュートを決められ同点に。延長戦は勢いの出たスイスに攻め込まれながらも得点を許さなかった。

 GWS(ゲーム・ウイニング・ショット=シュートオフ)では5人を終えて1-1。サドンデスに持ち込み、その後の5人をきっちりと防いだ。ベストプレーヤーにも選ばれたグレーゼンは「目の前のパックを止めることしか考えていなかった。覚えていない」と振り返る集中力だった。12日の準決勝では、グループAリーグで1-5と敗れたカナダと再戦する。「勝つために最後までやるだけ」。短い言葉に力を込めた。

◇決勝トーナメント
▽準々決勝

フィンランド 3(0-0 1-1 1-1 延長 1-0)2 スウェーデン
▽反則
【フ】4(0、1、3、0)
【ス】4(1、2、1、0)
▽シュート数
【フ】30(8、10、8、4)
【ス】26(8、10、7、1)

ロシア 2(1-0 0-0 0-1 延長 0-0 GWS 1-0)1 スイス
▽反則
【ロ】8(3、2、3、0、0)
【ス】4(2、2、0、0、0)
▽シュート数
【ロ】31(7、15、6、2、1)
【ス】18(3、5、4、6、0)


◆2019女子アイスホッケーU18世界選手権について
大会公式ページ、スケジュール、ライブ中継など-国際アイスホッケー連盟公式ホームページ
大会ライブ中継など-国際アイスホッケー連盟公式YouTubeチャンネル

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  • 試合後、報道陣のインタビューに応じる日本のFW牛尾あずき

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  • 試合後、報道陣のインタビューに応じるスイスのGKサスキア・モーラー

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  • 試合後のスイスチーム、GKサスキア・マウラー(中央)ら

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