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初公開2点も 9月12日から生誕120年能勢眞美展

「ゴルフを遊ぶ庭」(1931年、道立帯広美術館蔵)=道立帯広美術館提供

 十勝ゆかりの画家で北海道の近代洋画の礎を築いた能勢眞美(1897~1982年)の生誕120年にちなんだ展覧会が、9月12日から道立帯広美術館コレクション・ギャラリーで開かれる。昨年度、同館が寄贈を受けた「ゴルフを遊ぶ庭」と、近年帯広に“里帰り”した「緑陰の佇(たたずみ)」の油彩2点を初公開。これらを含む戦前から晩年までの約25点を並べ、画業を振り返る。

 能勢は胆振管内白老町生まれ。1925年、北海道美術協会(道展)の創立に参加したほか、日展、一水会展などに出品を重ね、北海道を代表する画家として活躍した。戦後の48年、札幌から帯広(現在の北海道ホテル敷地内)に転居。自宅庭先や周辺の緑豊かな風景を描き、「緑の画家」として親しまれた。

 今回の生誕120年展は帯広美術館が主催。同館の所蔵作品を主に、油彩は「自画像」(48年ごろ)や帯広時代を代表する「疎林初秋」(67年)などを時代順に並べる。ほかに、水彩・素描も展示する。

 初公開の2点のうち「ゴルフを遊ぶ庭」(31年、120号)は、能勢が札幌時代に北大植物園とともによく題材にした、同植物園北側の「伊藤邸」を描いた作品。昨年、東京の専門学校の倉庫で発見された後、同館に寄贈され、今年5月に修復を終えて今回お披露目となる。緑の中に池も描かれ、「水のある風景を好んだ能勢の札幌時代をよく表す作品」(同館の薗部容子主任学芸員)という。

 同じく初公開の「緑陰の佇」(55年、40号=十勝毎日新聞社グループ所蔵)は2年ほど前、帯広の能勢の遺族のもとに都内の親戚から送られ、里帰りした。能勢が娘2人と暮らした現・北海道ホテル敷地内の風景で、住居とみられる柾(まさ)ぶき屋根の建物が描かれている。同所を題材にした作品は多いが、「住居そのものを描いているのは珍しい」(同)といい、貴重な1点だ。

 能勢の展覧会は96年にも同館で開かれているが、久しぶり。「生誕120年を機にその画業を改めて知ってほしい」(同)としている。11月12日まで。観覧料は一般260円、高大生150円。主展示室での追悼特別展「高倉健」との同時開催。(金谷信)
 

関連写真

  • 「緑陰の佇」(1955年、十勝毎日新聞社グループ蔵)=道立帯広美術館提供

    「緑陰の佇」(1955年、十勝毎日新聞社グループ蔵)=道立帯広美術館提供

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