恐竜絶滅期生き抜いた貝 浦幌で新種含む化石11種発見
深海環境の解明にひと役
【浦幌】上越教育大の天野和孝副学長と金沢大学理工研究域自然システム学系のロバ-ト・ジェンキンズ助教は27日、町活平地区にある約6000万年前の地層から、恐竜絶滅時の環境変動を生き延びた二枚貝類と、世界最古のミジンソデガイ属「ウラホロミジンソデガイ」が見つかったと発表した。
これらの発見は、中生代末(約6600万年前)の地球規模の環境変動が浅海や陸上生物の絶滅を導いたのに対し、深海域の生物にはそれほど影響しなかった証拠の一つとなる。
発掘層は新生代暁新世(約6600万年前から5600万年前)の活平層上部。深海性二枚貝化石を11種発見した。同定された貝化石群には、恐竜がいた中生代白亜紀(約1億4500万年前から6600万年前)に知られるホッカイドウキララガイなど2種、エゾロウバイガイ属など2属の二枚貝が含まれている。
発見した11種中には1新属(オオロウバイガイ属)、3新種(ウラホロオオロウバイガイ、ウラホロハトムギソデガイ、ウラホロミジンソデガイと命名)が含まれている。ウラホロミジンソデガイ(学名チンダリア・パレオセニカ)は最大6・2ミリの小型の二枚貝で、ミジンソデガイ属では世界最古であることが分かった。従来の記録を3000万年以上さかのぼることとなった。
約6000万年前の活平層上部からはこれまでも、世界最古のワダツミフネガイ属(二枚貝)、エゾコロモガイ属(巻貝)が発見されており、新生代型深海性貝類の起源の一つが北太平洋地域にあった可能性があるとする。
活平層上部では帯広市在住のアマチュア化石研究家井上清和氏も採集し、天野氏とジェンキンズ氏が2012~15年に採集した原鰓類二枚貝をまとめ、研究成果の一部を1月末の日本古生物学会で発表していた。
両氏は27日午後、上越教育大(新潟県上越市)で記者会見を開いた。天野氏は「日本では中生代末の境界は浦幌でしか見られない。浦幌では気になるものがまだ残っており、引き続き研究したい」と話している。(関坂典生)
◆「恐竜絶滅時の環境変動を生きのびた二枚貝類と世界最古のミジンソデガイ属を発見」について
・記者発表の様子および発見内容の詳細-上越教育大学公式ホームページ