伊豆倉写真館の伊豆倉さん 全技連のマイスターに認定
伊豆倉写真館代表の伊豆倉淳さん(69)が、今年度の全技連(全国技能士会連合会)の「写真マイスター」に認定された。全国でも現在の認定者は4人しかおらず、管内の関係者も喜びに沸いている。伊豆倉さんも「身が引き締まる思い。気持ちを新たに写真スタジオならではの魅力を伝えたい」と受賞に笑顔を見せ、意気込んでいる。
全技連マイスターは技能検定特級・1級に合格し、20年以上の実務経験と活動実績を持ち、後進の育成並びに技能の伝承に熱心な技能士を認定する制度。5年ごとの更新を必要とし、厚労省が認定する「卓越した技能者(現代の名工)」に次ぐ名誉ある資格で、61職種で計1948人(9月末現在)が認定を受けている。
写真部門は、十勝では2014年にミドリ写真館(帯広)の大玉公輝会長が認定されて以来2年ぶり。認定は道内で3人目(現在は大玉会長と2人)、全国でも10人目(同4人)と数少ない。
伊豆倉さんは帯広出身。少年時代に父親の知人で9月に死去した写真家関口哲也さんの風景写真に触れ「自分もきれいな写真を撮りたい」と夢を抱き、当時の帯広第六中卒業後、写真の道へ。札幌の森田耀峰写真場で9年間、帯広の迎賓閣(当時)で6年間、修行の身として婚礼写真を中心に撮影の日々。その後、独立して始めたのが今に続く伊豆倉写真館で、今年で39年目を迎える。
写真業界の発展にも貢献し、北海道営業写真家協会会長を08年から務める。毎年、若手写真家を対象に行う勉強会でアドバイスをするなど後進育成にも力を入れ、「お客さまとのコミュニケーションを通してご希望の写真を気持ちを込めて撮ることが大事なこと」と伝えている。
写真家の仕事について、「写真への『期待』を『感動』にして差し上げるのがカメラマンの仕事。『ここで撮ってもらって良かった』の一言が一番うれしい」とほほを緩ませる。
身近な先輩で2年前にマイスターに認定された大玉さんの姿に鼓舞され、「自分も(マイスターに)挑戦してみようと思った」と応募を決意。書類審査の後に行われた2次審査では「家族写真など宝物として手元に置いてもらえる写真文化を伝えていきたい」と志を語った。
今後は子どもたちが作る俳句と写真とのコラボレーション企画を構想中。「子どもの言葉は力が大きく光っている。写真で言葉の広がりを表現したい。大人になったときにもう一度楽しんでもらいたい」と目を輝かせた。(藤島諒司)