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障害者アスリート斉藤さん ベンチプレス指導で活躍

明治北海道十勝オーバルのトレーニング室で教える斉藤さん(左)と、指導を受ける大道さん

 障害者ベンチプレス選手で東京パラリンピック(2020年)出場などを目指す斉藤伸弘さん(49)=帯広、ワトム所属=が、障害の有無を問わず選手の指導でも活躍している。愛弟子の一人、帯広の大道祐輝さん(21)=十勝パワーリフティング協会、日本通運帯広支店勤務=は3月に日本王者となり、世界クラシック選手権大会(5月16~26日・南アフリカ)ジュニア男子83キロ級に初出場で銀メダルを獲得。ごまかしのない“斉藤流”で教えを受けた大道さんは「スポーツ指導に障害は関係ない」と実感を込めて語る。

 斉藤さんは二分脊椎症で歩行が困難だが、37歳で本格的にスポーツを始め、アーチェリーとベンチプレスの国内外の大会に出場してきた。6年前に始めたベンチプレスは2011年の西日本障害者選手権大会に初出場で優勝。14年の世界選手権(ドバイ)に日本代表で出場、同年のアジアパラ競技大会(韓国)では十勝の男子選手初の出場を果たして8位に入った。

 今年のブラジル・リオデジャネイロパラリンピック出場は逃したが、18年のアジア選手権(日本で開催予定)、東京パラリンピック出場を目指し、全日本合宿などに参加している。

世界選手権で銀メダルを獲得した大道さん(右)の活躍を喜ぶ斉藤さん

 大道さんは帯大谷高サッカー部員だった高校2年時に、筋力トレーニングで通っていた明治北海道十勝オーバルのトレーニング室で斉藤さんと出会った。斉藤さんの指導はシャフトへの指の掛け方、練習メニューの組み立て、大会で挙げる重量の選択など詳細だ。

 大道さんが今回の世界選手権で成功した3本の重量(1本目147・5キロ、2本目は自己新の155キロ、3本目は同160キロ)も、斉藤さんが大会前に指示した。「1本目は3回以上挙げられる重さでまず成功する。2本目は自己新。3本目は練習で挙げていなくても降ろすまでして重さを体験した重量で」と狙った通りに成果を出し、大道さんは「初の世界の舞台でも(指示通りにやって)緊張はなかった」と振り返る。

 斉藤さんが教えるフォームは日本の健常者選手特有の背中を反らせて挙げるものではなく、ベンチに背中をぴったり付けて行う。「世界水準のきれいなフォームで。しっかりと腕をスライドさせなければ力は付かない」(斉藤さん)という理由からだ。

 大道さんは、障害者選手が優れた指導者になれることを「(教えてもらった障害のない)自分の活躍で証明したい」と意気込む。斉藤さんは、ほかに障害者選手1人を含む管内の5人を指導しており、各大会で今後も躍進が期待される。(横田光俊)

<ベンチプレスのルール>
 選手は頭、両肩、尻をベンチの面に接して仰向けになり、両足は床面につける。バーの両側の補助員がバーをラックから外すのを手伝い、選手は腕を伸ばした状態でレフェリーの合図を待つ。「スタート」の合図でバーを胸の位置まで降ろして一旦静止させ、バーを押し上げ、肘を伸ばした状態で静止する。レフェリーは選手の肘が完全に伸び切り静止したのを確認して「ラック」と言い終了する。

関連写真

  • 大道さんの練習を車いすの上から指導する斉藤さん(左)。指の掛け方など詳細に教える

    大道さんの練習を車いすの上から指導する斉藤さん(左)。指の掛け方など詳細に教える

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