廃業したホテル利用し「マイナスアート展」開催へ
2012年に廃業した旧ホテルみのや(帯広市西2南10)の建物を使い、現代アートの「帯広コンテンポラリーアート2015 マイナスアート展」が8月1~30日に開かれる。地方都市における中心市街地の疲弊の象徴とも言えるホテル跡を舞台に、管内外から50人以上のアーティストが集い、作品を発表する。
十勝・帯広の現代アート作家でつくる帯広コンテンポラリーアート実行委員会の主催。同実行委による帯広コンテンポラリーアートとしては「真正閣の100日」(2011年)、「風と森の共振『防風林』アートプロジェクト」(13~14年)に続く第3弾の事業となる。
「マイナスアート」とは「負」や「影」のイメージを抱く物や事柄に目を向けたアート作品を発表し、そこから「プラス」や「光」を見いだそうとするアート活動。今回の取り組みには既に絵画、彫刻、造形、空間演出、映像、建築、人形など、さまざまなジャンルの53人が参加を表明している。
計画では旧ホテル建物の2階から屋上までの廊下や客室、階段、浴室、機械室まで、あらゆるスペースで展示を行う。1階の現・十勝サロンANNEXの部分では舞踏や音楽、トークなどのイベントも開催。会期中は広小路の七夕祭りや平原まつり、花火大会などで帯広を訪れる観光客が最も多い時期にも重なることから、近くの帯広駅北多目的広場でのワークショップ実施など、祭りや今年90回を迎える平原社展との連動も予定している。
10日午後には出品作家全員でつくる実行委の総会が十勝サロンANNEXで開かれ、、実行委員長に梅田正則さん(帯広)、副実行委員長に吉野隆幸さん(同)を選んだ。
総会後は展覧会場となる建物も視察。彫刻家の藤井忠行さん(旭川)は「長い年月で建物に染み込んでいる“過去の何か”をさかのぼり、空間の履歴を感じられるような作品を作りたい」、建築家の赤坂真一郎さん(札幌)は「一般や他の作家では気付かないような、建物の特徴やアート性を顕在化させたい」と構想を練っていた。
梅田さんは「廃業以降、人の目に触れることのなかった場所に再び注目を集め、(マイナスの)この場所から帯広の街の活性化を願うような企画にしたい」と話している。(大谷健人)