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羽賀2年ぶりV、高木姉妹W杯へ 全日本距離別スケート

男子1000メートルで優勝を決めた羽賀亮平は、表彰式でトロフィーを高々と上げて喜ぶ

 【長野】ワールドカップ(W杯)代表選考を兼ねたスピードスケートの第21回全日本距離別選手権(日本スピード連盟主催)最終日が26日、長野市のエムウエーブで行われた。男子1000メートルで羽賀亮平(日本電産サンキョー-日大、白樺学園高出)が1分11秒01で2年ぶり2度目の優勝を飾った。女子1000メートルでは、前日まで2冠達成の高木菜那(日本電産サンキョー-帯南商高出)が1分17秒21で2位と健闘。今大会不調だった妹の美帆(日体大-帯南商高出)も5位に食い込み、姉妹でW杯代表権を手にした。優勝の小平奈緒(相澤病院)は6連覇。美帆は、今大会初採用された選手が一斉に滑走するマススタートでは優勝を飾り、この種目でのW杯出場も決めた。(岡部彰広、折原徹也)

開幕戦制し「非常に大きい」 羽賀亮平
 前日の500メートルで逆転負けを喫して2位となり、優勝を逃した羽賀亮平が、最終日の1000メートルを制した。定めていた1分9秒台後半から10秒台前半のタイムに届かず、ゴール直後こそ首をひねったが、「優勝できたことは非常に大きい」と、シーズン開幕戦を気持ちよく終えられたことを喜んだ。

 1000メートルは大学時代に急激に力を伸ばした得意種目。バンクーバー五輪にはこの種目で出場し、同年の全日本スプリント選手権で総合初優勝する原動力にもなった。今回は最大のライバルとなる大学の先輩・長島圭一郎(日本電産サンキョー-日大、池田高出)がエントリーしていなかったこともあり、何としても優勝したかった。スタートで出遅れ、300メートル付近のコーナー出口で、左手をつきそうになるほどバランスを崩したが、地力が違った。

 今季はスライドボードを使った陸上トレーニングで、常に氷上をイメージしながらやってきたことが結果に表れつつあるという。それでも「いつもレースではミスしている。そういうのをなくさなくては、500メートルのような結果になってしまう」と、課題は山積している。

 500メートルだけではなく、1000メートルでも世界と対等に戦うことが今季の目標だ。11月に行われる帯広でのW杯を楽しみにする。「まだ表彰台に立ったことがないので、地元で達成したい」と、前日とは打って変わっての明るい表情で、明治オーバルでの決戦に思いをはせていた。

「まさに作戦通り」 最終種目で頂点 高木美
 「やったー」。大声とともに両手を掲げてのガッツポーズが思わず出た。今大会、結果を残せなかった高木美帆が、今大会最後に行われた新種目マススタートで優勝をさらい、W杯出場を決めた。

 シングルトラックで16周滑るマススタートは、定められた周回で3度獲得できる小ポイント、ゴールの順位で得られる大ポイントの合計で順位が決まる。最後のコーナー手前で姉の菜那が、同僚の樋沙織とトップに出ようとしたところを内から突き、そのままゴールに飛び込んだ。

 すでに1000メートルで5位ながらW杯代表を確実にしていたため「隙があれば行こうという感じ」とリラックスして臨んだが、最後は勝負師になった。「とにかく(菜那に)ついていった。まさに作戦通りだった」と、してやったりの表情を見せた。

 ただ、W杯前半戦で得意の1500メートルで勝負できないことに話が及ぶと「1000しか滑ることができないのは…。悔しい思いは心の中にためていきたい」と、複雑な気持ちを押し殺しながら、巻き返しへの強い意欲をうかがわせた。

全4種目で表彰台大きな飛躍見せる 女子1000 2位・高木菜
 高木菜那(日本電産サンキョー-帯南商高出)が、最終日も1000メートルで2位マススタートで3位となり、全4種目で表彰台に立った。

 155センチの小さな体から、国内トップ選手としての貫禄も漂うようになった。1000メートルは国内トップスプリンターの小平奈緒と最終組で同走。トップスピードの差から前半こそ置いていかれたが、これまでのレースで見せつけた終盤の強さを発揮。最終周回は出場者中唯一の29秒台で戻ってきた。この種目6連覇を飾った女王に途中、1秒以上つけられた差を0・36秒差まで縮めた。「しんどかったが最後まで足が動いていた。去年よりスピードをキープする力がついたかな」と、再びオランダでの練習が間違いではなかったことを証明した。

 ソチ五輪に出場した昨シーズンから大きな飛躍を遂げ、安定した力を順位で示した。次に求められるのはその質になる。「会社にはたくさんの支援を受けているので、これからは結果だけではなくタイムも出して応えていきたい」。前向きな気持ちはとどまることはない。

ナショナルチーム練習で成長実感 男子5000 3位・小川
 1万メートル日本記録保持者の小川拓朗(白樺学園高出)が、5000メートルで3位に入ったことが決め手となり、昨年に続きW杯出場を決めた。

 高卒1年目の今季は、所属先に帯広スケート連盟の名を借り、スポンサーなしで活動。6月に一時、スケートへの意欲を失いかけたが、今季からスタートした日本ナショナルチームに7月末に合流。4人いる男子オールラウンドチームで、“一匹おおかみ”のハンディを感じることなく練習できたのが、今回の順位につながった。

 同種目で国内最高を出した同期のウィリアムソン師円には一目置いているが、小川も力がついてきたことを実感している。ナショナルチームで中距離が強い中村奨太(ロジネットジャパン)、小田卓朗(早大)の背後につきながら練習したことで、スピードがついたという。1500メートルで前回の25位から6位に一気に上がったのがその証拠だ。また、チーム合流前から自転車の長距離走行を積極的にこなしたことで、筋力アップも果たした。

 個人種目で今季の「W杯全戦出場」の目標はかなわなかったが、今後はライバル・ウィリアムソン師円の強さを励みにしながら、同後半戦出場や国内での日本記録更新の夢をかなえるつもりだ。

見せ場なかった
女子1000メートル棄権の押切美沙紀(富士急-駒大苫小牧高、中札内中出)の話

 股関節痛だったため、戦いやすいと思ったマススタートの方に出場した。楽しかったが、見せ場なく終わってしまった。


(26日・7位以下関係分)
【男子】
▽5000メートル
(カルテット)
世界記録 スベン・クラマー(オランダ)6分3秒32
日本記録 平子裕基(開西病院)6分21秒98
大会記録 平子裕基(開西病院)6分30秒21
リンク記録 スベン・クラマー(オランダ)6分17秒24

(1)ウィリアムソン師円(日本電産サンキョー)6分29秒76・国内最高、大会新
(2)大林昌仁(山梨学院大)6・37・40
(3)小川拓朗(帯広連盟)6・37・53
(4)帰山雄太(水戸開研)6・43・92
(5)小川翔也(専大-池田高出)6・44・20
(6)三輪準也(法大-白樺学園高出)6・44・38
(10)渡部知也(日体大-池田高出)6・47・76
(12)横山碧生(山形中央高-池田中出)6・48・87
(22)大竹拓三(駒大苫小牧高-芽室中出)7・0・77
(24)千葉将志(明大-白樺学園高出)7・1・65
(26)齋藤紘彬(専大-帯南商高出)7・9・10

▽1000メートル
世界記録 シャニー・デービス(米国)1分6秒42
日本記録 長島圭一郎(日本電産サンキョー)1分8秒09
大会記録 長島圭一郎(日本電産サンキョー)1分10秒18
リンク記録 シャニー・デービス(米国)1分8秒92

(1)羽賀亮平(日本電産サンキョー-日大、白樺学園高出)1分11秒01
(2)中村駿佑(法大)1・11・15
(3)藤野裕人(法大)1・11・34
(4)中村健斗(日本電産サンキョー)1・11・52
(5)小田卓朗(早大)1・11・64
(6)居城和樹(信州大-帯南商高出)1・11・65
(7)大和田真(帯広連盟)1・11・66
(11)山田将矢(池田高)1・12・34
(12)今野陽太(開西病院)1・12・42
(13)大和田司(味のちぬや-北翔大、白樺学園高出)1・12・49
(15)長谷川翼(日大-白樺学園高出)1・12・53
(17)後藤卓也(日大-帯農高出)1・12・79
(18)小坂龍(専大-白樺学園高出)1・13・13
(20)三輪準也(法大-白樺学園高出)1・13・36
(21)沼崎高行(道東電機)1・13・38
(23)池田崇将(専大-白樺学園高出)1・13・477
(24)及川佑(大和ハウス工業-山梨学院大、池田高出)1・13・66
(25)磯賢汰(日大-帯農高出)1・14・21
(26)松井友汰(池田高)1・14・22
(29)久保廉(帯三条高)1・14・48
(30)辻本一史(帯農高)1・15・21
(31)榊原一輝(帯南商高)1・15・48
(35)石川斗来(白樺学園高)1・17・18

▽マススタート
(1)土屋良輔(専大)73(8分33秒951)
(2)三輪準也(法大-白樺学園高出)40(8・36・701)
(3)小川翔也(専大-池田高出)20(8・37・155)
(4)小川拓朗(帯広連盟)8(8・39・091)
(5)矢島友喜(法大)3(8・54・831)
(6)ウィリアムソン師円(日本電産サンキョー)1(8・37・759)
(7)渡部知也(日体大-池田高出)1(8・41・026)
(10)今野陽太(開西病院)0(8・41・012)

【女子】
▽1000メートル

世界記録 ブリタニー・ボウ(米国)1分12秒58
日本記録 小平奈緒(相澤病院)1分13秒98
大会記録 小平奈緒(相澤病院)1分15秒91
リンク記録 クリスティン・ネスビット(カナダ)1分15秒13

(1)小平奈緒(相澤病院)1分16秒85
(2)高木菜那(日本電産サンキョー-帯南商高出)1・17・21
(3)菊池彩花(富士急)1・17・74
(4)住吉都(ローソン)1・17・91
(5)高木美帆(日体大-帯南商高出)1・18・12
(6)田畑真紀(ダイチ)1・18・20
(8)辻麻希(開西病院)1・18・72
(9)郷亜里砂(イヨテツ-山梨学院大、白樺学園高出)1・18・81
(14)松田有幾(アルムシステム)1・20・63
(15)辻本有沙(信州大-白樺学園高出)1・20・73
(16)永田希絵(高崎健大-帯南商高出)1・20・78
(18)澤田芽依(山梨学院大-帯三条高出)1・21・58
(20)浅野実久(帯南商高)1・21・73
(21)山根佳子(日体大-帯柏葉高出)1・21・77
(24)太田凪砂(信州大-帯南商高出)1・22・29
(26)土田愛(イヨテツ-山梨学院大、駒大苫小牧高、屈足中出)1・22・72
(30)桜井萌美(日体大-白樺学園高出)1・23・46
(31)加藤梨乃(池田高)1・23・70
(33)虫狩光桜(同)1・23・96
(35)澤尻磨里英(白樺学園高)1・24・71

▽マススタート
(1)高木美帆(日体大-帯南商高出)60(10分3秒189)
(2)田畑真紀(ダイチ)40(10・3・640)
(3)高木菜那(日本電産サンキョー-帯南商高出)29(10・3・682)
(4)酒井寧子(高崎健大-帯南商高出)10(10・6・236)
(5)藤村祥子(宝来中央歯科)5(10・4・755)
(6)樋沙織(日本電産サンキョー)3(10・4・132)
(10)門奈津実(ダイチ-白樺学園高出)0(10・4・763)
(11)押切美沙紀(富士急-駒大苫小牧高、中札内中出)0(10・4・942)




W杯出場選手発表
 日本スケート連盟は26日、年内に行われるワールドカップ(W杯)前半戦計4戦およびジュニアW杯第1戦(11月22、23日・カナダ、カルガリー)の代表選手を発表した。管内関係では今野陽太(開西病院)、小川翔也(専大-池田高出)が第1戦帯広大会(11月14~16日)のみ出場。小川拓朗(帯広連盟)は帯広大会5000メートルのみと第3戦(12月5~7日・ドイツ、ベルリン)、第4戦(12月12~14日・オランダ、ヘーレンフェイン)の団体追い抜きに出場する。

◇W杯前半戦
▽男子
=及川佑(大和ハウス工業-山梨学院大、池田高出)羽賀亮平(日本電産サンキョー-日大、白樺学園高出)長島圭一郎(日本電産サンキョー-日大、池田高出)山中大地(電算)長谷川翼(日大-白樺学園高出)中村駿佑(法大)藤野裕人(法大)中村健斗(日本電産サンキョー)小田卓朗(早大)ウィリアムソン師円(日本電産サンキョー)中村奨太(ロジネットジャパン)今野陽太(開西病院)大林昌仁(山梨学院大)小川拓朗(帯広連盟)帰山雄太(水戸開研)小川翔也(専大-池田高出)土屋良輔(専大)

▽女子=辻麻希(開西病院)小平奈緒(相澤病院)住吉都(ローソン)郷亜里砂(イヨテツスピードクラブ-山梨学院大、白樺学園高出)黒岩美生(日体大)高木菜那(日本電産サンキョー-帯南商高出)菊池彩花(富士急)高木美帆(日体大-帯南商高出)樋沙織(日本電産サンキョー)押切美沙紀(富士急-駒大苫小牧高、中札内中出)田畑真紀(ダイチ)藤村祥子(宝来中央歯科)高山梨沙(富士急)

◇ジュニアW杯
▽男子
=新濱立也(釧路商高)山田将矢(池田高)中村隼人(法大)由井直樹(山形中央高)菊池耕太(長野・小海高)一戸誠太郎(信州大)

▽女子=浅野実久(帯南商高)山根佳子(日体大-帯柏葉高出)藤森美希(長野・佐久長聖高)菊池純礼(トヨタ自動車)佐藤綾乃(釧路北陽高)酒井寧子(高崎健大-帯南商高)


◆大会について
大会結果-Japan Skating Federation Official Results & Data Site

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