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経営実績と地域の指標値をラクラク比較!~組勘を使った経営分析プログラムの開発~

道総研 十勝農業試験場 研究部 農業システムグループ
十勝農業協同組合連合会
帯広畜産大学

1.背景と目的
 経営分析には自己の時系列比較、計画比較あるいは他者や指標値との比較がある。これまで十勝農試は自己の時系列比較、計画比較をおこなうプログラムを開発、実装してきた。本研究では、自己実績と指標値との比較を可能とすることを目的とし、優良経営の実績に基づき組勘の経営指標値を算定し、経営計画策定時に活用できる分析プログラムを開発しJAサーバに実装することを目的とした。

2.試験の方法
 優良経営における経営管理とJAにおける経営相談業務の実態解析に基づき、開発する組勘指標値のコンセプトを設定。このうえで、優良経営の実績に基づき経営指標値を演算するプログラムを開発し、JAのシステムに実装。分析表の作成に当たってはJAで利用性テストをおこないニーズを反映させた。

3.成果の概要
1)開発した「経営指標値分析プログラム」は、地域内の優良経営の実績に基づき、経営形態ごとに収入及び支出の指標値を作成し、個々の経営の実績と比較する分析表を作成するものである。
2)組勘の経営指標値は、組勘収入と支出の優良経営における平均値とし、経営計画策定時に経営指標値と比較できるように、営農科目ごとに総額、単位当たり額(/10a、/ 頭、/ 乳量100kg)及び農業収入計に占める構成比を経営指標値として設定した(表1)。経営指標値を設定した経営形態は畑作専業、畑作野菜、酪農専業、畑作黒毛繁殖経営である。
3)本プログラムで用いるデータは、3カ年の、(1)組勘実績、(2)作付面積、(3)経産牛頭数、(4)出荷乳量、(5)黒毛繁殖頭数、(6)放牧及びTMRセンター利用有無である。プログラムでは、(1)組勘実績データはサーバを自動参照し、(2)~(5)のその他のデータはCSV によって取り込むことで、データの準備作業を極力簡便化した。プログラムは、これらのデータに基づき、経営形態を自動で判別し、優良経営を抽出し、指標値を演算する。
4)プログラム上で組合員コードを指定することで対象組合員の分析表を作成できる。分析表は個々の組合員の実績値と経営指標値との比較表(図1)と、(1)収益性と資金繰り、(2)収入、(3)支出、(4)資金運用について当該組合員の地域内の位置を示す散布図(図2)である。
5)分析表は次のSTEP 1~4の手順で活用することを推奨する。
(1)STEP 1:利用者は、まず対象組合員の収益性と資金繰りの問題を確認する。 
(2)STEP2, 3:比較表(図2)からどの科目の収入(STEP 2)、支出(STEP 3)を精査するか特定し、散布図と経営指標値を参考として改善の糸口を探索して経営計画に反映させる。
(3)STEP 4:収益性が低く資金が不足する場合は、家計費等を含めた資金運用を確認し、目標所得を明瞭にした上で経営計画を策定する。

4.留意点
1)実装した本プログラムは、経営計画策定時に活用する。
2)十勝管内JAに実装し、令和3年度より本格的に運用を開始している。
3)本ツールは道総研と十勝農業協同組合連合会、帯広畜産大学の共同著作物であるため、十勝管外JAでの利用に当たっては,共有者の許諾のもと当該地区の電算環境に適合するプログラムの開発が必要である。
4)組勘口座を経由しない取引は把握できないことに留意して活用する。地域で推奨される追肥体系(追肥時期、施肥量)のもとで収量の安定化技術として活用する。



詳しい内容については、次にお問い合わせください。
道総研十勝農業試験場 農業システムグループ
電話(0155)62-9835
E-mail:tokachi-agri@hro.or.jp

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