プラス思考で痛み緩和 帯広りはびりと日本医療大学 共同研究
地域高齢者対象に調査
帯広市のデイサービスセンター帯広りはびり(小川尚平代表)と日本医療大学(札幌)が、身体の痛みに悩む高齢者の症状を和らげるための共同研究を始めた。帯広りはびりの利用者ら地域の高齢者にアンケートを実施し、心の持ち方と痛みの大きさの因果関係を分析する。「前向きで活動的な暮らしが痛みを緩和する」ことを統計的に示し、毎日の生活に役立ててもらおうと考えている。
共同研究は、帯広りはびりの代表で作業療法士の小川さんと、理学療法士の小椋伸一さん、日本医療大学・保健医療学部リハビリテーション学科の清本憲太助教が行う。痛みの大きさと心理状態、ストレスの関連性を調べる研究は医療・福祉分野で増えているが、地域高齢者に焦点をあてた調査は珍しいという。
2017年度中に100人規模の回答を得ることを目標に、10月から調査用紙の配布を始めた。現在の回答数は約40件。小川さんは「10年以上前から『痛いから動かせない』という患者の思考方法を前向きに変えながら、治療に取り組んできた。研究の成果を地域の皆さんに還元できれば」と語る。
調査は、年齢・家族構成などの基本情報から、現在持っている疾患、痛みの程度、種類、痛みに対しての考え方や感情などを設問形式で行う。日本医療大学の清本助教は「痛みによる『破局的思考』が慢性疼痛を悪化させ、廃用症候群や寝たきりなどにつながると考えている。より多くの回答を集めて傾向を抽出し、プラス思考が痛みの緩和につながることをわかりやすく示したい」と話している。
研究成果は18年度中に作業療法や理学療法の関連学会に論文として発表。帯広りはびりの利用者のほか、地域に幅広く提供して役立ててもらう考えだ。(奥野秀康)