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おびひろ動物園 人気者 相次ぎ死ぬ

帯広に来てわずか1カ月弱で死んだアムールトラの「カフカ」

キリン2頭にカバ、アムールトラ
老朽施設 整備求める声も

 おびひろ動物園(柚原和敏園長)で人気の大型動物の死が続いている。16日には来園して約3週間のアムールトラ「カフカ」(雄、8歳)が死んだ。死因は腎機能障害とみられるが、昨年夏には治療を受けており、「病気下での移動が体調悪化の引き金になったのでは」との声も出ている。この1年でキリン2頭やカバなどが相次ぎ死んだ同園では魅力低下も懸念され、施設の老朽化も含めて、将来にわたり動物園をどう整備するのか市にはビジョンと対応が求められている。

 カフカは「マオ」(雌、6歳)とのペアリングを目指し、9月21日に釧路市動物園から来園。当初は元気な様子だったが、水を多く飲むなど腎臓の不調もうかがわせた。11日から餌を全く食べず、弱っていったという。

 釧路にいた1年以上前から腎機能障害の所見があり、昨年7月には治療も受けていた。体重は142キロと一般的な雄より20~30キロ痩せていたのも病気の影響とみられる。同障害はネコ科に多く、おびひろ動物園で2010~12年に飼育され、8月に円山動物園(札幌)で死んだアムールトラ「タツオ」(雄、19歳)も慢性腎不全が死因だった。

昨年11、12月に相次いで突然死したキリンの「リボン」と「ムサシ」(左から)

移動が負担に?
 今回の移動については、国内のトラ繁殖の取りまとめをする神戸市立王子動物園からオファーがあり、病状が落ち着いていたため「移動に耐えられ、帯広で暮らしていける」と判断した。しかし、釧路からカフカを見てきたという来園者は「移動で死期が早まったのなら悲しい」と死を悼む。

 おびひろ動物園は「移動のストレスが腎機能障害の要因とは説明できない」とする。解剖した帯広畜産大学の担当者も「死因については限りなく寿命に近い。環境的な要因ではない」との見解を示している。

 同園では昨年11、12月にキリンの「ムサシ」(雄、19歳)「リボン」(雌、8歳)が突然死。3月にアメリカバイソン「レベッカ」(雌、18歳)、5月にカバ「ダイ」(雄、47歳)、9月にラマ「雪丸」(雄、17歳)が老齢による機能障害などで死んだ。

 このうち2頭のキリンは死因がはっきりせず、現在飼育するキリンは忘れ形見の「メープル」(雌、2歳)のみ。同園は2頭の死後、飼育動物の“幸福な暮らし”を図る方策「環境エンリッチメント」として、さまざまな葉っぱを遊び道具として与えたり、栄養価の高いエサに替えたりした。ストレス軽減や健康に配慮した取り組みを、試行錯誤しながら行っている。

5月に大往生した人気者だったカバの「ダイ」

 一方で、施設の老朽化という課題もある。1963年開園の同園の獣舎は、08年の「新サル舎」以降、新設されていない。動物のストレスを軽減し、魅力を高めるためにも、施設整備が必要との声は根強い。環境整備や動物購入のために今年創設された「おびひろ動物園ゆめ基金」には、管内外から多くの寄付が寄せられ、関心の高さが分かる。

 ボランティアガイドなどで同園を応援するおびひろ動物園協会の菅雅史会長は、新たな動物を導入するにも以前のように購入することが難しい現状を指摘し、「動物導入の手法として繁殖が重要。そのための施設や環境を整える必要があるのでは」としている。(松田亜弓、池谷智仁)

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