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とうもろこしサイレージと 破砕玄米給与による黒毛和種去勢牛の肥育

道総研畜産試験場 家畜研究部 肉牛グループ

1.試験のねらい
 飼料自給率向上を目的に、とうもろこしサイレージ(CS)と破砕玄米の給与が肥育成績に及ぼす影響について検討し、破砕玄米ととうもろこしサイレージを活用した黒毛和種去勢牛の肥育技術を確立する。

2.試験の方法
1 )CSと濃厚飼料の分離給与における濃厚飼料中の破砕玄米混合割合の上限を明らかにするとともに、黒毛和種去勢牛への破砕玄米を混合した濃厚飼料とCSの分離給与が肥育成績に及ぼす影響について明らかにする。

2 )CSを主体とした混合飼料(TMR)中の破砕玄米混合割合の上限を明らかにするとともに、黒毛和種去勢牛への破砕玄米混合TMRの給与が肥育成績に及ぼす影響について明らかにする。

3.成果の概要
1 )破砕玄米混合割合を60%まで高めると乾物摂取量、特に濃厚飼料摂取量の低下がみられ(図1)、ルーメン内容液性状では玄米混合割合を高めるにつれて、酢酸モル比の上昇およびプロピオン酸モル比の低下がみられた。これらのことから、CSと濃厚飼料の分離給与では濃厚飼料中の破砕玄米混合割合を40%にとどめた方が良いと考えられた。

2 )破砕玄米40%混合濃厚飼料とCSの肥育牛への分離給与は、飼料摂取量、増体、枝肉成績において慣行肥育と有意な差はみられず、CS給与による枝肉脂肪の黄色化も認められなかった(表1)。

3 )CSを60%混合した肥育前中期用TMRでは、破砕玄米をTMR中30%まで混合しても飼料摂取量や消化率の低下が認められず、ルーメン内容液性状においても影響がみられなかった。一方、CSを40%混合した肥育後期用TMRでは、破砕玄米混合割合を45%まで高めるとNDFおよびデンプン消化率が顕著に低下し、ルーメン内アンモニア態窒素濃度も大幅に上昇した(図2)。これらのことから、肥育用CS主体TMRにおける破砕玄米割合は30%が上限だと考えられた。

4 )破砕玄米割合を30%とし、CS混合割合を肥育前中期に60%、後期に40%としたTMRの給与は、飼料摂取量および増体に負の影響はなく、枝肉成績についても慣行肥育と同程度であった(表2)。

5 )CSと破砕玄米混合濃厚飼料の分離給与により飼料費は、慣行肥育に対して10.8万円の低減が可能と試算され、TDN自給率は慣行肥育の11.1%に対して69.7%まで向上する。CS主体破砕玄米混合TMR給与では飼料費は慣行肥育に対して13.6万円の低減が可能と試算され、TDN自給率は慣行肥育の11.8%に対して83.1%まで向上する。

4.留意点
  特になし






用語説明
BMS No. : 牛脂肪交雑基準(No. 1~12)、BCS No. : 牛肉色基準(No. 1~7)、BFS No. : 牛脂肪色基準(No. 1
~7)

詳しい内容については、次にお問い合わせ下さい。
道総研畜産試験場 家畜研究部 肉牛グループ 齋藤 早春
電話(0156)64-0610  FAX(0156)64-3212
E-mail:saitou-waka@hro.or.jp

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