全道高体連 陸上 福島(帯南商2年) 今季日本高校女子100メートル 1位
全道高体連大会は22、23日に各地で競技を行った。陸上競技は22日の女子百メートル準決勝で福島千里(帯南商2年)が今季日本高校1位、日本歴代3位、日本高校2年生最高記録の11秒70の大記録を達成、決勝でも快走して優勝。サッカー2回戦では帯北が強豪・旭川実を破り、8強入りした。柔道団体戦は旭川大がアベック優勝、十勝出身選手が勝利に貢献した。
(岡部彰広、丸山一樹)
(22、23日・釧路市民陸上競技場)
第3日の23日は男女16種目を行った。午前の男子八百メートル準決勝は、22日の予選を突破している菅原史哉(帯柏葉3年)が1組で1分57秒37の3着、久保裕太郎(帯緑陽3年)が3組で2分0秒08の2着に入り、それぞれ決勝へ駒を進めた。
第2日の22日は男女9種目の決勝などを行った。福島千里(帯南商2年)は女子百メートルで11秒78(向かい風0・6メートル)をマークし、昨年の国体覇者の熊坂都(札幌大谷3年)を破り頂点に立った。福島は準決勝で11秒70(追い風2・0メートル)の日本高校歴代3位、日本高校2年生最高記録で大会新、十勝新を樹立、今季日本高校1位に躍り出た。同4×百メートルリレーは帯南商(坂田亜由美、中島悠貴、五十嵐友、福島千里)が47秒39の大会新、十勝新で制覇。佐藤彩香(帯柏葉1年)は同七種競技で4238点の十勝新で2位に入った。白樺学園(長野友樹、西貴裕、阿部真光、鈴木俊広)は男子4×百メートルリレーを42秒63で2位に食い込んだ。長平奈々(帯南商3年)は女子走り高跳びで3位に入った。この日の十勝勢は男女合わせて3選手と、リレーチーム2校がインターハイ出場を決めた。
ジンクス打ち消す快走 福島
女子百メートル決勝。急成長を遂げた福島千里(帯南商2年)の前では、昨年の日本高校ランキング1位・熊坂都(札幌大谷3年)の走りも、かすんで見えた。向かい風0・6メートルの悪条件を突き、スタートから他を圧倒。熊坂を約2メートル引き離す11秒78の驚異的な走りだった。準決勝では11秒70の日本高校歴代3位をマーク。11秒73の日本高校2年生最高記録も27年ぶりに更新した。短距離界の歴史を塗り替えるパフォーマンスだった。
パワーで押し切る熊坂に対し、福島は空気を切り裂くような動きの切れで勝負するタイプ。この日は後半に定評のある熊坂を余裕を持って振り切った。昨年は全道高校新人大会の百メートル、二百メートルで競り負けるなど、接戦になると動きが硬くなる癖があったが、11秒70をマークし自信を深め臨んだ決勝では、そんな不安を全く感じさせなかった。福島も「悪いところもなく、自分の走りができたと思う」と振り返った。準決勝のタイムを再度更新できなかったが“向かい風に弱い”“競り合いに弱い”というジンクスを打ち消すような価値あるレースとなった。
辻吉則監督は予想を上回る出来に「何も言うことはない」と驚きの表情。11秒78を向かい風でマークしたことも「力が付いている証拠」と高く評価。これで世界ユース選手権(7月・モロッコ)の代表も引き寄せた。
順当な仕上がりを見せるが、報道陣に今季の目標を聞かれても「全国制覇」は明言しなかった。同学年には、昨年のインターハイ百メートル王者の高橋萌木子(埼玉・埼玉栄2年)、同二百メートル優勝者の河野千波(千葉・東京学館浦安2年)という強力なライバルがいる。勝負強さが持ち味の高橋は今季、百メートルで11秒77をマーク。福島は挑戦者としてインターハイに臨む。
しかし、ここのところ北海道勢はインターハイで6年連続全国王者を輩出するなど好調。短距離では、アテネ五輪代表の高平慎士(順大−旭川大高出)をはじめ3年連続でタイトルを奪っている。福島もその勢いにあやかりたい。
自己新マークもさらなる向上心
○…女子七種競技は佐藤彩香(帯柏葉1年)が自らが持つ十勝記録を更新する4238点で2位に食い込んだ。
第1日(21日)を2位で折り返すと、第2日の22日は第5種目の走り幅跳び、第6種目のやり投げで伸び悩んだが、気持ちをうまく切り替え、最後の八百メートルでは2分29秒85の自己新をマークして持ち直し、十勝記録へとつなげた。走・投・跳といった運動のあらゆる要素を求められる混成競技だが、1年生で見事に対応、全国切符を手に入れた。
優勝した庄司安那(恵庭南3年)が今季日本高校最高の5030点(北海道新)をマークするなど、同種目は大いに盛り上がった。佐藤も「自己新はうれしいが、庄司さんがつくった記録を目標にこれからも頑張りたい」と、向上心を見せていた。
出場権獲得で「楽になった」
○…長平奈々(帯南商3年)は昨年は出場権を獲得できなかった女子走り高跳びで1メートル57を跳んで3位。「高校最後の年。『負けたくない』という気持ちはあった」と、頂点には立てなかったが、強気な姿勢が表彰台を呼び寄せた。
上位を狙う走り幅跳びは23日。走り高跳びで全国切符を獲得したことで「気が少し楽になった」と、肩の力は抜けたよう。インターハイの決勝進出も可能な5メートル70以上のジャンプを目指す。
記録更新で優勝に花添える
○…女子4×百メートルリレーは、準決勝で47秒73の大会新、十勝新をマークしていた帯南商がさらに記録を更新する47秒39で優勝に花を添えた。
アンカーの福島千里(2年)だけではなく、1走の坂田亜由美(3年)、2走の中島悠貴(1年)、3走の五十嵐友(同)も今大会で成長したことが飛躍の要因となった。坂田、五十嵐は、この日の百メートルで12秒中盤の走りを見せていた。
全国で勝負するため、苦しい練習にも耐えてきた4選手。春先の大会ではバトンパスがうまくいかず、戸惑うこともあった。「つらいことも多かったが、辻(吉則)監督をはじめ、支えてくれた多くの人のおかげ」と、最上級生の坂田は周囲に感謝の気持ちを表した。
次は最高峰の舞台・インターハイ。この日の47秒39は昨年の日本高校ランキングでは8位相当と、全国の強豪と肩を並べる記録。ファイナリストを目指し、4選手は本番へ向け、再度気持ちを高めていく。
2位と健闘も笑顔はなし
○…男子4×百メートルリレーは、十勝支部予選の王者・白樺学園が42秒63で2位と健闘した。
1走・長野友樹(3年)から勢いに乗り、2走・西貴裕(2年)、3走・阿部真光(同)、4走・鈴木俊広(同)がいずれも快走を見せたが、男子百メートルの王者で10秒5台のベストを持つ伊丸岡亮太を擁する札幌国際情報に0秒17先着された。
優勝を目指し今大会に臨んだだけに、4選手の顔に笑顔はなかったが「インターハイでは決勝進出を目指していきたい」と、最上級生の長野友樹は気持ちを新たにしていた。
焦らず徐々に前へ出て決勝へ
○…今季は層の厚い十勝男子中距離陣。八百メートルでは久保裕太郎(帯緑陽3年)、菅原史哉(帯柏葉3年)の2人がファイナルへ進んだ。
久保は前半、集団の中に閉じ込められ、先頭に飛び出せない状態に陥った。しかし600メートル付近からスパートを掛け、徐々に前へ。最後は決勝進出ラインの2着を確保した。
久保は「最初は前に出られなかったが、焦りはなかった。ここまで来たら、思い切りやるまで」と、午後の決勝へ向け気合を入れていた。