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及川佑の目「女子500メートル『美帆選手は会心のレース 変わらない滑り』 北京五輪スピードスケート」

 高木美帆選手は会心のレースでした。スタートの反応も良く、4、5歩目あたりで少しつまづいたようにも見えましたが、そこからの滑りは見事でした。美帆選手の強みは500メートルのレースでも滑りが変わらないところ。中距離の選手が500メートルなど短距離種目に出場するとスピードを出そうと力が入り、上体が浮き、トップスピードに乗れないままゴールしてしまう選手もたくさんいます。しかし、美帆選手は滑りを変えることなく、冷静にリズムを少しだけ速くしてギアを上げていっているというイメージです。5種目出場のうちの4種目目ということで疲労の心配をしていましたが、さすがにタフですね。残りの種目も美帆選手らしい滑りで良いパフォーマンスが出せることを期待しています。

 郷亜里砂選手はスタートの出だしは良かったものの、全体的に足が流れ気味で今日の氷と、ブレードや滑りとの感覚にやや手こずったように見えました。本来、コーナーが上手なのですが今日はうまく氷を捉え切れていなかったように見えました。ただ、最後まで気持ちが入った素晴らしい動きでした。一時期、一緒に練習していたこともあり、前回の五輪もそうでしたが今回も大いに力が入りました。37秒台は郷選手の意地を見た気がします。

 小平奈緒選手はスタート1歩目でつまづいたようで、そこから上体が浮いてしまいました。500メートルの中で一度浮いてしまった上体を下げていくのは難しく、いつもとは違って見える視界と足のトレースに意識がいき、そこから従来の姿勢に下げようとして余計な力が入ります。ミスは誰にでもあることで、小平選手は世界を引っ張ってきたトップスケーターであることは疑う余地がありません。次の1000メートルには気持ちを整え、納得のいく良いレースをしてくれると信じています。(及川佑=トリノ五輪500メートル4位)

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