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強さの秘密は栄養強化 高木美帆選手 行動変化、明治がサポート

高木選手(左)の栄養サポートを行う村野さん(右)。信頼関係を深め、栄養面強化に取り組んできた=明治提供

 北京五輪スピードスケート日本代表で、7日の女子1500メートルで銀メダルを獲得した高木美帆選手=幕別町出身=の強さの秘密に、栄養面の強化がある。2017年から明治(東京)が栄養サポートを行い、食事への意識や行動変化を定着させた。同社管理栄養士の村野あずささん(49)は「高木選手は賢く、柔軟な思考と行動力、地道な努力で常に自分自身を高めている。競技への妥協が一切なく、その向上心はすばらしい」と感心する。

 競技力向上には栄養面強化が不可欠と考えた高木選手の希望で、同社は17年5月から栄養サポートを実施している。選手が自発的に考えて実践・継続するため、サポートは一方通行ではなく、目標に向けた課題を共有し相互理解を深めながら取り組んできた。高木選手が毎日の食事画像やスケジュールなどをメッセージアプリで送信し、村野さんが必要な栄養が満たされているか確認し助言している。

 村野さんは炭水化物、脂質、たんぱく質、ビタミン、ミネラルの五大栄養素を摂取できる食事を心掛けるよう提案。「栄養フルコース型」と題した主食、おかず(2品以上)、野菜、果物、乳製品を食事に取り入れるもので、村野さんとコミュニケーションを取りながら高木選手は習慣化していった。

高木選手が村野さんに送信した合宿中の食事=明治提供

 自炊では時間や手間を掛けず栄養価を高めるよう工夫し、必要に応じて外食の活用も勧めた。例えば鉄分強化にレバーは適しているが下処理の手間があるため、なじみの飲食店の協力を得て摂取することを実践した。

 サプリメントを含めた練習前後の栄養補給も戦略的に取り組んできた。オールラウンダーの高木選手はスピードやパワーの他にスタミナも重要で、筋肉は強化しても大きくし過ぎないとの考えがある。その考えに沿い、シーズンや目的に応じたプロテインの使い分けなどを提案している。

 最も苦労したのは海外遠征。遠征先によってはコンディションに関わる栄養が十分確保できないため、ささみ肉や青魚、大豆製品などのたんぱく質源、総菜のパウチ食品を日本から持参した。新型コロナウイルス感染拡大後は現地での行動は制限されたが、ネットスーパーで野菜を購入するなど臨機応変に対応した。

 「この4年間、悩みながらも常に進化を求めて努力を続けてきた。柔軟に対応できる知恵や実行力を兼ね備え、心身ともに強く成長した」と村野さん。高木選手は栄養サポートを受ける中で、1回の食事の積み重ねで未来が大きく変わり、一つたりとも無駄にできないとの意識に変化したという。

 良好なコンディションで北京入りした高木選手に対し、村野さんは「やるだけのことはやってきた。無事にスタートラインに立てれば、美帆さんならば目標を成し遂げてくれるはず」とエールを送る。
(池谷智仁)

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