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音更出身の横幕さん脚本映画「桜色の風が咲く」 帯広で20日から上映

「桜色の風が咲く」のワンシーン((c)THRONE/KARAVAN Pictures)

 音更町出身の脚本家、横幕智裕さん(52)=神奈川県川崎市=が脚本を手掛けた映画「桜色の風が咲く」が20日から、帯広市内のシネマ太陽帯広で上映される。映画の単独脚本は初めて。横幕さんは「地元で上映されることは目標だった。私自身、帯広の映画館で映画を見て感動し、脚本家になろうと思った。同様に僕の映画で何かを感じてもらえたらうれしい」と話している。(松村智裕)

 横幕さんは2012年のテレビドラマ「明日をあきらめない~がれきの中の新聞社 河北新報のいちばん長い日」(テレビ東京)で日本放送文化大賞グランプリなど各賞を受賞した。近年は21年日本民間放送連盟賞テレビ/ドラマ番組部門優秀賞の「名建築で昼食を」(テレビ大阪)などの脚本を担当。ドラマ化された人気漫画「ラジエーションハウス」の原作を担当するなど幅広く活躍している。

 今作は、盲ろう者ながら世界で初めて大学教授となった福島智さん(60)=東大先端科学技術研究センター教授=の実話を基にした母子の物語。

「手掛けた映画が帯広で上映されるのはうれしい」と語る横幕さん(本人提供)

 横幕さんは18年、知人の松本准平監督から映画脚本を打診された。当時は「障害者を描き、同情を引くような脚本は書けない」と考えていたが、福島さんの母令子さんの著書を読み、「家族の話としてなら書ける」と感じたという。

 盲学校などを丹念に取材し、19年1月に初稿を執筆。その後、福島さんにもチェックしてもらい、最終的に1年がかりで書いた脚本は二十数稿に上った。

 福島さんを田中偉登さん、その母を12年ぶりの映画主演となる小雪さんが務めることになり、20年3月にクランクインしたが、コロナ禍で撮影は中止に。その際「外出できず、人と話すこともできない中でコミュニケーションの大切さを改めて実感した」と脚本を描き直し、完成度を高めた。

 福島さんは9歳で失明、18歳で聴力を失った。「宇宙空間に一人で放り出されたような気持ち」という孤独にさいなまれる中、自身の指に母親が指を重ねる独自の「指点字」でコミュニケーションを図った。

 横幕さんは「母子の愛情の強さなどについて深く考えながら書いた。コロナ禍の中、人とのつながりの大切さを感じてもらえたら」と話している。

 映画は昨年11月から全国公開中。シネマ太陽帯広では2月2日まで2週間上映し、最初の1週間はバリアフリー字幕上映となる。

映画「桜色の風が咲く」公式サイト

<よこまく・ともひろ>
 1970年生まれ、帯広柏葉高、横浜商科大卒。十勝で就職し、34歳で上京。2008年に脚本家デビューした。脚本を書いたドラマ「A Table!~歴史のレシピを作ってたべる~」(BS松竹東急)が9日から放送中。

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