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「氷に迷った」高木美帆悔しさ残る3000メートル6位 視線は1500へ

 【中国・北京=北雅貴】北京での開幕戦は若干の苦さが残った。例年なら五輪会場で前年に行われる世界距離別選手権が、昨年は新型コロナウイルスの影響で中止に。同リンクでは国際大会もなかったため、この日が初の実戦となった。高木美帆は「氷に対して迷ったかもしれない」と淡々と振り返った。

 誤算は200メートルからの1周。31秒24を費やした。攻めるレースを意識していたが、微妙な気持ちの揺れが展開を狂わせた。「速いラップタイム、スピードで入ろうと思っていたが、ここ数年の3000メートルのレースでは一番乗り切れなかった。リンクが重く感じたのでリズム良く軽めにと思ったが、やり過ぎたのかもしれない」。テンポの速さを意識し過ぎて、一足に体重を乗せた一歩の長さを伸ばせなかった。

 一概には比較できないが、昨年12月に同じ低地リンクの長野のエムウェーブで行われた代表選手選考競技会では最初の1周を30秒63で回り、結果的に国内で初めて4分を切る3分59秒81の好タイムをマークしていただけに悔しさが残る。

 2018年の平昌(ピョンチャン)では5位。3位に1秒33と肉薄していた。さらに力を付け「上位に食らいつける」位置に成長したと実感。同種目で日本人初のメダルも狙っていたが及ばなかった。ただ、調子自体は悪いわけではない。最終周を除いては31秒台のラップを正確に刻んだ。

 3度目の五輪は、葛藤を乗り越えてつかんだ舞台だった。金銀銅メダルを獲得した平昌。同五輪を迎える4年間は「人生を懸けてスケートに取り組んだ」だけに、北京に向かう覚悟をすぐには持てなかった。「平昌は個人種目で金メダルを取れなかった。北京を本気で目指すのであれば、(平昌前の)4年間を超えなければならない。理解している部分と、気持ちがマッチしなかった」と振り返る。

 心の整理が付かないまま、それでも北京へ前向きになった場合に備えて、体は鍛えておかなければならない。「特に最初の1年目の夏のトレーニングがきつかった。しんどい時期は続くかなと思ったが地道にやるべきことをやっていこうと考えた」。自身と向き合い、少しずつ歩んできて迎えた五輪だった。

 今大会は500メートルから3000メートルまでの個人種目と団体追い抜き(チームパシュート)の計5種目に出場する。世界屈指のオールラウンダーの挑戦は始まったばかり。初日の3000メートルは、滑り終えた後、後半に出場する強豪選手を目の当たりにすることなくリンクを去った。しばらくして、固定自転車をこぐ高木美の姿が場内の大型スクリーンに映し出された。「やるべきことをやる」。既に視線は次を向いている。

 7日には本命の1500メートルが控える。「リンクの状態は感じられた。どのように組み立てたら良いのかイメージしやすくなった」と静かな闘志を燃やす。

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