樹木枝分かれに格差 帯畜大の小山助教が証明
帯広畜産大学の小山耕平助教(39)=植物生態学=は、樹木の枝分かれ構造について、大きな枝は大きな枝の集団から発生するという“格差”を含んだ規則性があることを証明した。この研究成果を発展させると樹木全体の変化を把握することが容易となり、地球温暖化の影響予測などに役立つとしている。
小山助教によると、樹木は一般的に、親となる枝から分岐を繰り返して成長する。葉1枚や枝1本ごとの成長は研究されているが、枝ごとに個性があるため樹木全体の変化を把握するのは難しかった。そこで、全体傾向が分かる規則性を探った。
帯広市内に自生するハルニレの枝約2000本を調査した。大きく成長した枝から分岐した集団の中に、大きな枝と小さな枝が発生。新たに誕生した集団の中でも同様の格差が表れ、末端の枝は「多数の小さなもの」と「ごく少数の非常に大きなもの」に分類された。これは対数正規分布と呼ばれる規則性で、経済学における貧富の格差が広がる過程にも応用される。
小山助教は「複雑で計算が困難な森林枝葉の集団の成長や機能を、比較的簡単な確率モデルで取り扱うことができるのでは」とし、樹木の温暖化影響予測に応用できる可能性があるとしている。
中央大、京都大との共同研究。研究成果は英国の科学誌に掲載された。(池谷智仁)