巣箱設置し、エゾモモンガの生態調査 帯畜大と動物園
帯広畜産大学(奥田潔学長)とおびひろ動物園(柚原和敏園長)が今年度から取り組む、エゾモモンガの共同研究の内容が固まった。9月に同動物園内に巣箱5個を設置し、野生の個体数や生態などを調査。市民への環境教育のほか、将来的には飼育下での繁殖に役立てる。
野生動物の知識を持つ人材を育てる、同大の「農業共生圏高度専門家」育成事業の一環。地域の固有種であるエゾモモンガは河畔林や緑地、動物園を含む帯広緑ケ丘公園一帯に生息しているが、夜行性のため観察の機会は少ない。同動物園で4頭を室内飼育しているが、野生の個体も観察することで効果的な環境教育につなげる。
エゾモモンガは木のうろやキツツキが開けた穴などを好むことから、園内5カ所の木に巣箱を設置。小型カメラを取り付け、巣箱内の個体数や行動などを調べる。園内は寝床に適した木が少なく、縄張り争いに敗れ、別の場所に移動している可能性があるという。
調査・研究の成果はエゾモモンガに適した園内の環境整備に活用するほか、市民にも還元する。来園者の巣箱内観察会も実施。エゾモモンガは木の上を滑空で移動するため、生息には樹木のつながりが必要などの知識を、環境教育として伝える考え。同大が調査・観察技術を提供し、動物園職員の専門知識育成にも役立てる。
同動物園で室内飼育するエゾモモンガは、自然界と異なる環境のためか、繁殖は思うように進んでいない。柚原園長は「研究成果を繁殖にも生かせれば」と話している。(池谷智仁)