「くらしのガイド」9年ぶり改定 帯広市
帯広市は今年度、市民向けの生活情報冊子「おびひろくらしのガイド」を9年ぶりに全面改訂する。同冊子を巡っては、前回改訂時に管外業者が業務を1円で受託する事態が生じ、市が発行の仕組みを検討していた。今回からは市と事業者が協働で発行する形態とし、発行・配布に掛かる費用は全額、冊子の広告料で賄う。事業者はプロポーザル(企画提案)方式で公募する。
同冊子は、市民生活を送る上で必要な手続きや施設などの情報をまとめたもの。5~10年ごとに全面改訂した際に市内全世帯に配っている。
発行業務はこれまで民間委託していた。2007年に全面改訂した際に市は、制作費約1400万円から広告料収入の見込みを除いた約680万円を予定価格として入札したが、札幌の事業者が1円で落札した。
市によると、自治体の同様の媒体を無料で発行し、広告料で利益を上げるビジネスが盛んになり出した時期で、「『1円落札』は想定外だった」(広報広聴課)。問題を受け地元の印刷業界からは、地元企業の受注機会拡大を要望する声が挙がっていた。
市によると、現在は全国の自治体の約半数が、公費負担ゼロで同様の冊子を発行している。ただ、大半は大手2社が担っており、地元業者が参画できない問題がある。市はこれまで2社と協議し、印刷や配布など一部業務に地元業者が関わる可能性を探ってきたが、業者側からは、制作から配布まで一括で実施することにメリットがあるとして、受け入れられなかった。
一方、この間に市内でも地元業者がフリーペーパーを発刊するなどし、「地元にもノウハウが蓄積されてきた」(同)。今年に入って地元企業に意向を確認したところ、複数社が業務への参加に前向きな姿勢を示したことから、今年度、官民協働の仕組みで全面改訂することとした。
改訂に合わせて防災情報をまとめた冊子「我が家の防災チェック」も一冊にし、「(仮称)おびひろくらしと防災ガイド」として発行する。両冊子を公費負担ゼロで発行することで、2326万円の歳出抑制につながるという。市は「大きな支出がなくなるので、今後は2年ごとに作り替えることを考えている」(同)とする。
プロポーザルの参加申し込み締め切りは11日。公募に関する問い合わせは同課(0155・65・4109)へ。
(丹羽恭太)