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道中学駅伝 女子1部で下音更2年連続全道制覇全国へ

【女子1部】下音更のアンカー番場梨帆が、指で「1」を作りながら歓喜のゴール

 【新得】駅伝の第32回道中学校大会(道陸上競技協会など主催)が19日、サホロリバーサイド運動広場で行われ、5区12キロの女子1部は下音更(中村優里、島部茉衣、酒井菜緒、中村詠美、番場梨帆)が44分35秒で2年連続の全道制覇を果たすとともに、全国大会(12月14日・山口県)出場を決めた。下音更は3区の酒井が区間トップで首位に立つと、さらにリードを広げて逃げ切った。十勝勢の2連覇は1997年・98年、2000年・01年の帯緑園以来2校目で過去最高タイ。全道では福島中の5連覇が最高。十勝勢の2番手には、伊藤穂乃佳(2年)が1区区間賞に輝いた新得が8位に食い込んだ。男子1部の管内勢は、下音更の5位が最高だった。(岡部彰広)

◆秘策のスパート奏功、下音更女子
 アンカーの番場梨帆(2年)が後ろを振り返ったのは残り1キロ地点での一度きりだった。2位以下が見えないのを確認するとゴールに向かって加速、最後は両手の人さし指を天に向けながらゴールした。

 全区間で残り900メートル地点からスパートする秘策が決まった。今季、このコースでのレース、練習で計5度走った経験と、他チームとの戦力比較を踏まえて廣瀬悦久監督が導き出した作戦だ。昨年の優勝メンバー2人が残っているものの「全道(陸上)大会で勝てるような選手はいない。相手も陸上以外の選手も出て強さが分からない。だったら先にスパートをかけて力を出し切るしかない」。

 急なコーナーを回り、後半の直線に入るこの地点を境にしたスピードアップを選手は実践した。さらにコースの最短距離を走る“アウトインアウト”、たすきの受け渡しをスムーズにすることで「1区間につき3、4秒短縮できる」と地の利を最大限に生かした。

 ライバルを寄せ付けなかった。1区の中村優里主将(3年)が区間3位ながら、ターゲットとしていた札幌あいの里東(7位)の前に出ると、スピードのある島部茉衣(同)も3位をキープしながら差をさらに6秒広げた。そして後半に強い3区の酒井菜緒(2年)が残り1000メートルで首位に立ち、スパートで差を広げた。

 圧巻だったは、大会2日前に廣瀬監督が4区抜てきを決めた中村詠美(1年)だった。他の選手は中長距離を専門とするが、中村は跳躍、4種競技が専門。「バネがあるし(長距離も)早いんだろうなと思っていた」と廣瀬監督が直前の記録会1500メートルに出したところ好走したのが決め手となった。

 「今回メンバーに入るとは思ってなかったので緊張したが、後ろの人の走る音より応援の声が大きかったので思い切り走れた」(中村詠)。スパートも決め、終わって見れば区間トップタイムをたたき出し、2位旭川永山とのスタート時の8秒差を51秒差にした。

 不完全燃焼に終わるよりも、ゴールで燃え尽きるレース展開を選択、選手も力を出し切っての完勝劇だった。中村主将は「連覇できるか不安はあったが、勝ててすっきりした」と満足げだ。

 昨年の全国大会は最下位の48位。見たことのないコースのアップダウンに圧倒された。「初めて行った去年は『わっ』となってしまったが、今回は分かっているので坂の練習などで準備をしたい」と廣瀬監督。中村主将も「30位台を」と、前回を大幅に上回る成績を目指す。

◆下音更男子、大沼主将「力を出し切った」
 男子1部の下音更は、目標の3位以内はかなわず5位となった。「女子の優勝はうらやましいが、自信を持って走ることができた」と大沼和樹主将(3年)は胸を張った。

 8位でたすきを受け取った3区の大沼主将が奮闘した。最初の500メートルで1人抜き、中盤に4人抜いて3位に上がった。しかし釧路、函館勢の速さは想像以上だった。大沼主将は「もう一つの目標の1時間を切ることもできなかったが、今のチームの力を出し切って頑張れた」と爽やかに言い切った。

◆新得女子、各競技選手らで結成、8位健闘
 女子1部の新得が下音更に続く管内勢2番手に入り、3年連続となった地元開催でこれまで最高の8位と健闘した。

 同校に陸上競技部はないが、個人で大会に出ている伊藤穂乃佳(2年)や中学水泳の管内第一人者の石原幸(3年)、スピードスケートの古川智洋(同)、補欠ながら吹奏楽部で肺活量のある児玉莉音(1年)ら先輩、後輩、友人が今回のためにチームを結成。伊藤の父で同校PTA会長の仁浩さんがコーチを務めて3年連続の出場にこぎつけた。

 エース級がそろう1区で、トライアスロン道ジュニア強化選手でもある伊藤が、自己ベスト記録を12秒更新する独走で区間賞を獲得すると、アンカー石原が区間3位タイムをマークするなど健闘。伊藤コーチは「地元へ恩返ししてくれた」は胸を熱くしていた。



<選手ひとこと>
昨年の経験生きた

 ▽1区・中村優里(3年)=伊藤さん(新得)には離されたが、いい位置につけられたと思う。昨年の経験が生きた。

ラストは頑張れた
 ▽2区・島部茉衣(3年)=前に人、後ろにも人がいて不安だったが少しでもタイムを縮めて帰りたいと思っていた。ラストは頑張れた。

納得はしていない
 ▽3区・酒井菜緒(2年)=駅伝のたすきにはみんなの思いが詰まっているので緊張した。仕事はできたが、後輩に2秒負けたので納得していない。

全力で行った
 ▽4区・中村詠美(1年)=1位でたすきを受けたので、絶対に抜かれないように全力で行った。最後(のスパート)も思いっきり行けた。

うれしくてポーズ
 ▽5区・番場梨帆(2年)=最初は体が動かなかったが、3、4区で差を広げてくれたおかげでリラックスして走れた。山口(の全国大会)に行けると思ったらうれしくて、十勝大会と同じポーズでゴールした。

(4位以下関係分、2部は2位以下関係分)
【男子】
◇1部(18キロ・各区間3キロ)

(1)釧路景雲((5)種市類9分28秒(1)金橋佳佑9分14秒(1)飛島陸玖9分47秒(1)多田勇馬9分46秒(4)坂上奨真10分11秒(12)椛澤翔10分16秒)58分42秒
(2)函館赤川(小倉颯太、坂見一将、菊地寛也、清水洋基、佐藤八樹、古館拳太)59分19秒
(3)岩見沢光陵(関瞬ノ介、古川太一、宮腰元、河野治人、斉藤功将、原旬平)59分42秒
(5)下音更(沼田響輝、前田詩温、大沼和樹、掛下陽平、佐藤晋太郎、竹田俊太)1時間0分21秒
(14)帯西陵(池下蒼、森本奏大、馬渕那月、村田康太、斉藤淳康、藤沢凱)1時間2分20秒
(21)芽室(北村優知、高倉龍一、長岡芽晟、遠藤舜弥、今村優太、西内大翔)1時間3分46秒
(22)帯五(東将輝、榎波俊輔、前崎征己、佐藤翔太、青木建太、本間崚)1時間3分52秒
(29)帯南町(櫻井春誓、石井すが汰、堀良介、大沼樹生、濱田晃旗、須田裕太)1時間5分14秒
(35)音更(瀬沼優也、中村和聖、村井北斗、野村凌馬、犬塚隼人、小高孝太)1時間7分24秒
(41)芽室西(菅原伸一朗、石田賢介、吉田淳、若椙宣弘、藤田寛大、野原敬心)1時間8分17秒
(45)清水(三田村昂亮、柳田健、我妻駿、高橋啓弥、神谷岬、新居将太)1時間8分56秒
(47)新得(岩瀬竜介、奥村晴樹、板垣悠真、阿部朝日、高瀬宙、児島健太)1時間9分30秒

◇2部(同)
(1)函館CRS((1)佐々木隼斗9分20秒(1)杉本龍陽9分32秒(1)長谷川冬磨9分47秒(1)池田笙冴9分44秒(1)寺崎裕文9分39秒(2)竹内大夢10分14秒)58分16秒

【女子】
◇1部(12キロ・1、5区3キロ、2~4区2キロ)

(1)下音更((3)中村優里10分56秒(4)島部茉衣7分29秒(1)酒井菜緒7分25秒(1)中村詠美7分23秒(4)番場梨帆11分22秒)44分35秒
(2)札幌あいの里東(谷内田ひかり、熊谷美也妃、佐藤実生、佐々木乙嶺、長田香理)45分38秒
(3)深川一已(佐藤風夏、今田玲菜、富岡望優、奥谷紗羽、馬場絢女)45分44秒
(8)新得(伊藤穂乃佳、古川智洋、小岩由奈、駒井杏樹、石原幸)46分37秒
(19)本別(川崎育愛、井出望友、森内瑠那、広瀬蘭、川崎順未)49分10秒
(21)帯南町(森北弘海、花岡瞳、加藤理華、下村日和、森北菜美)49分19秒
(23)帯緑園(朴萌花、佐々木里菜、生田萌夏、田岡七珠、清野萌)49分34秒
(24)札内(古田彩乃、高橋芽愛、嶋田萌里、加藤千星、藤井咲名)50分3秒
(34)芽室(木村有希、袴田千鈴、工藤優花、栗栖菜摘、高坂緋里)52分55秒

◇2部(同・同)
(1)札幌選抜((1)神部涼10分36秒(1)大畑実桜里7分10秒(2)三上絢弓7分16秒(1)高橋ななみ7分13秒(2)佐藤未生10分58秒)43分13秒
(4)全十勝中体連合同(松井一葉、濱田果穂、齊藤安海、尾西陽菜子、冨田みはる)46分36秒

<区間賞>
【男子】
◇1部

▽1区=長田駿佑(七飯)9分15秒
▽2区=金橋佳佑(釧路景雲)9分14秒
▽3区=飛島陸玖(同)9分47秒
▽4区=多田勇馬(同)9分46秒
▽5区=佐藤八樹(函館赤川)9分52秒
▽6区=森山光太(北見北)9分51秒

◇2部
▽1区=佐々木隼斗(函館CRS)9分20秒
▽2区=杉本龍陽(同)9分32秒
▽3区=長谷川冬磨(同)9分47秒
▽4区=池田笙冴(同)9分44秒
▽5区=寺崎裕文(同)9分39秒
▽6区=藤村燦太(札幌選抜)9分56秒

【女子】
◇1部

▽1区=(1)伊藤穂乃佳(新得)10分20秒
▽2区=高橋凪沙(旭川永山)7分19秒
▽3区=(1)酒井菜緒(下音更)7分25秒
▽4区=中村詠美(同)7分23秒
▽5区=本間萌香(釧路富原)11分9秒

◇2部
▽1区=神部涼(札幌選抜)10分36秒
▽2区=大畑実桜里(同)7分10秒
▽3区=西田七海(函館CRS)7分4秒
▽4区=高橋ななみ(札幌選抜)7分13秒
▽5区=新谷萌華(函館CRS)10分53秒


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◆第32回北海道中学校駅伝競走大会について
各最終結果(PDF)ほか概要など-十勝陸上競技協会公式ホームページ

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