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卵胞発育処理で OPU-IVF 胚の生産効率アップ!

道総研 畜産試験場 肉牛研究部 生物工学グループ
家畜研究部 家畜衛生グループ

1.試験のねらい
 経腟採卵-体外受精(OPU-IVF)における卵胞発育処理(Follicle growth treatment、FGT)は胚生産成績が向上することが報告されているが、現行の卵胞波の調節*1(OPU による主席卵胞*2の吸引除去)および卵胞刺激(卵胞刺激ホルモン(FSH)複数回投与による卵胞発育を促す処理)は作業が煩雑かつ牛への負担が大きい。FGT-OPU 法を活用した牛 IVF 胚生産技術の有用性を検証するとともに、その簡易化技術を開発する。

2.試験の方法
1)OPU において FGT を実施しない区(対照区)と実施した区(漸減区)で採卵成績、IVF 胚発生成績および OPU-IVF 胚の新鮮移植における受胎率を比較し、FGT の効果を検証する。

2)1)の検証をさらに例数を増やして行うとともに、FGT-OPU 法における FSH 投与作業の簡易化(単回区)および OPU による主席卵胞除去の安息香酸エストラジオール(EB)筋肉内投与による代替(EB 漸減区)が、胚生産効率に及ぼす影響を明らかにする。

3.成果の概要
1)対照区および漸減区計7セットの OPU-IVF のうち、4セットでは、対照区と比較して漸減区で胚盤胞数が増加した(増加率100%~400%)。一方、1セットでは対照区および漸減区ともに胚盤胞は得られず、2セットでは、対照区と比較して漸減区で胚盤胞数が減少した(減少率20%~54.5%)(表1)。試験全体で作出した胚盤胞数は、対照区で22個、漸減区で33個と、FGT-OPU 法により合計11個多くの胚盤胞を生産することができ、FGT-OPU 法は、効率的な OPU-IVF 胚生産法として有用であることが示唆された。
 試験全体の OPU-IVF 胚の受胎率は45.2%(19/42)であり、実用的な受胎率が得られた。試験区別にみた場合、対照区および漸減区における受胎率は、それぞれ27.3%(3/11)および51.6%(16/31)であり、漸減区は対照区と比較して24.3ポイント高かった(表2)。

2)漸減区における回収卵子数は、対照区と比較して有意に低かったが、高品質卵子数、培養胚数および分割胚数は対照区と差はなく、胚盤胞数は対照区と比較して有意に高かった。単回区では、培養胚数、分割胚数および胚盤胞数は漸減区と比較して有意に低かった。一方、EB 漸減区では、回収卵子数、高品質卵子数、培養胚数および分割胚数は、漸減区と比較して有意に低かったが、胚盤胞数は、対照区よりも有意に高く、漸減区と同等であった(表3)。

 以上より、FGT-OPU 法は OPU-IVF 胚の生産効率を向上させる有用な方法であることを示した。また、卵胞波調節のための OPU による主席卵胞の吸引除去作業は、EB の筋肉内投与に代替可能であり、作業者や牛への負担が少ない省力的な FGT-OPU 法として活用できると考えられた。

4. 留意点
1)道内の OPU を実施する機関が、効率的かつ省力的に OPU-IVF 胚を作出するために活用する。
2)安息香酸エストラジオールは、休薬期間に留意する。



詳しい内容については、次にお問い合わせ下さい。
道総研畜産試験場 肉牛研究部 生物工学グループ 藤井 貴志
電話 0156-64-0617
FAX 0156-64-3484
E-mail fujii-takashi@hro.or.jp

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