敵を知り対策を立てよう!草地の難防除雑草「ハルガヤ」(研究成果名:草地における難防除雑草「ハルガヤ」の生育特性と低減対策)
道総研 畜産試験場 技術支援グループ、飼料環境グループ
道総研 上川農業試験場 天北支場 地域技術グループ
国立大学法人 北海道大学 北方生物圏フィールド科学センター
ホクレン農業協同組合連合会 畜産生産部
1.試験のねらい
近年、道央・道南および道北地域を中心とした草地に難防除雑草としてハルガヤが侵入し、対策に苦慮している。このハルガヤの生育特性を明らかにし、それらに基づいた有効な対策を示す。
2.試験の方法
1)ハルガヤの生育特性
出穂および種子生産時期等の特性を調査した。
2)ハルガヤの防除技術
除草剤の効果、施肥の影響、現地の更新事例を調査した。
3.成果の概要
1 )-(1)ハルガヤは出穂・開花が早く、6月始には種子を生産した。種子量は約10万粒/ ㎡と非常に多く、また、種子生産前に刈り取った場合もその40日後には種子を生産するため種子を落とさない栽培管理が困難な雑草であった(表2)。
1 )-(2)土壌表面に近いハルガヤの種子はすぐに出芽するが、土中1~5cm 深の種子は2~3年かけて出芽するため、草地更新後に再発生するリスクがある(図1)。土中に埋設した種子は24ヶ月後でも初期の5~6割の発芽率を有し、長期間死滅しない。
1 )-(3)ハルガヤの耐凍性はチモシー(TY)、オーチャードグラス(OG)より低く、ペレニアルライグラス(PR)と同程度である。
1 )-(4)ハルガヤが産生するクマリンはアレロパシー作用を示し、特にTY の根部の生育が抑制される。ハルガヤの競合力はTY より強く、OG とPR より弱いことが明らかとなった。
1)-(5)乾物中の飼料成分は6月上~下旬でCP6.0~8.2%、NDF72.6~78.7%であった。
2 )-(1)グリホサート系除草剤の体系処理(前植生+播種床)による草地更新は、前植生処理のみに比べ更新翌年のハルガヤ個体数抑制に効果があった(表1)。
2 )-(2)埋土種子対策として飼料用とうもろこしを作付けする場合、アトラジン製剤単用の茎葉処理で効果があった。また、クレトジム製剤(てんさい作付け時)およびインダノファン・ジフルフェニカン製剤(小麦作付け時)も効果があった。
2 )-(3)施肥量が少ないとハルガヤは増加し、その傾向は特にTY 草地で顕著であった。OG 草地では、標準施肥によりハルガヤの経年的増加は抑えられ、OG 草地への更新が有効であった(図2)。
3 )以上のようにハルガヤは短期的な根絶が困難で草地更新後も再発生のリスクがある雑草であった。この生育特性を考慮して、更新時に可能な限りハルガヤの侵入を抑え、その後の増加を抑制する対策を表2に整理
した。
4.留意点
1)ハルガヤの被害発生地域においてハルガヤ低減対策として活用する。
2)本試験はJRA 事業により実施し、マニュアルを作成・配布した。
詳しい内容については、次にお問い合わせ下さい。
道総研畜産試験場 家畜研究部 技術支援グループ 渡部 敢
電話(0156)64-0626 FAX(0156)64-6151
E-mail:watanobe-kan@hro.or.jp