十勝は特別措置除外 より強い制限求める声も
新型コロナウイルス対策として道内3度目となる緊急事態宣言発令に伴い、道は札幌など10市町村と、十勝を含むそれ以外の市町村の対策に強弱を付けた。十勝は前回と同じく、より強い対策を行う「特定措置区域」は外れたものの、対策への慣れがある中で行動変容や感染防止の効果は不透明。徹底した人流抑制策について検討を求める声も上がる。
「医療逼迫せず」
道の方針では、十勝など「一般措置区域」は、飲食店の営業時間短縮や学校行事の中止・延期といった対策が取られる。一方の特定措置区域では、酒類提供店の休業要請や高校の授業時間削減、市町村立施設の原則休館などより強い対策が求められる。
1回目の緊急事態宣言が出た昨春は、広い北海道で一律の対策が取られ、感染者が少ない地域からは、実情に合わせた対策を求める意見があった。
道では、区域指定の基準に(1)感染状況(2)周辺への拡大リスク(3)医療提供体制-を示しており、道幹部は「私権の制限が大きい特措法上の措置は最後の手段」と説明。十勝総合振興局も「十勝の医療体制は他地域に比べて今すぐに逼迫(ひっぱく)する状況にはなく、いろいろな産業への影響を考慮していく」とする。
一方で、十勝管内は8月の新規感染者数が月別の最多を更新するなど予断を許さない状態。十勝町村会の高橋正夫会長は「これ以上、何をやれば、という思いがある」と話す。感染拡大とともに客足が遠のく飲食店からは悲痛な声が聞かれる。帯広観光社交組合の森田かおる組合長は「業界は影響が長期化していて、経営的にも精神的にも相当参っている」と話す。
「全道で一気に」
帯広商工会議所の川田章博会頭は、行政の対応に理解を示しつつも「(札幌など)一部を『特定』で囲っても、人流は『特定以外』に流れるだけで、全道的な収束にはつながらない」と指摘。感染拡大の波は都市部から地方に広がる傾向を踏まえ、「全道で一気に対策を進めることが必要では」と語る。
これまでも指定と解除が繰り返され、感染拡大に歯止めがかからない実態に、管内の観光関係者からは「中途半端な対応では、ずるずると長引くだけ。知事会が求めているようなロックダウンの検討をしてもいいのでは」と訴えた。
帯広市の米沢則寿市長は26日の記者会見で、感染データに基づく対策の必要性を強調し、「感染状況を注視し、悪化した場合は現状の措置の見直しも求めていく」と語った。(安田義教、奥野秀康、佐藤いづみ、松岡秀宜、川野遼介)