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往復80キロ自転車通学で心身鍛える 更別農高初のSS選手

入学から毎日ロードバイクで往復80キロを通学して心身を鍛えてきた高田君(金野和彦撮影)

 【更別】更別農業高校(田村弘樹校長、生徒149人)に、学校創立以来初めてのスピードスケート選手が誕生した。農業科1年の高田悟君。部がない不遇を諦めず自ら練習環境を開拓し、帯広市内の自宅から遠路はるばるロードバイクで通学しながら心身を鍛えてきた。間もなく開幕するシーズンに向け「これまでの自分を信じて頑張りたい」と意気込んでいる。

 帯広第八中出身の高田君は、中学時代に長距離選手として北海道大会などで活躍。ただ、部がある強豪高校への進学がかなわなかった。それでも「競技を続けたい」との思いを断ち切ることができず「通学を利用しながら身体を作ろう」と考えた。

 自分に甘えず、身体を鍛えながら自転車で通学できる距離を計算し、勉強内容も勘案した上で最良だった同校を選択。田村校長は「本人の熱意が強かった」と安全指導を徹底した上で、長距離の自転車通学を初めて許可した。

 4月からは毎朝午前6時すぎに自宅を出て、往復3時間、80キロもの道程をロードバイクで通っている。自転車競技用ウエアを着込み、弁当や制服、勉強道具など約10キロの荷物を背負う。登校後はトイレで制服に着替えて授業に臨む生活だ。陸上自衛隊帯広駐屯地付近など傾斜が激しい坂もあり、「初めの2カ月間は足がパンパンだった」と振り返る。さらに毎日続く同じ道の往復は「修行のよう」と心身共に苦しみながらも、友人の励ましなどがあり「次第に日課へ変わっていった」という。

 五輪メダリストの長島圭一郎さんらを育成した芽室高校スケート部の野村昌男監督の指導を受けるため、同校の練習に参加するようにもなった。明治北海道十勝オーバルのみならず、休日は嵐山(芽室)まで自転車を走らせるなど、行動範囲の広さは誰もが驚く。

 部に復活以来、初の1勝を目指して奮闘する野球部の存在を「励みにしている」。10月の記録会に向け、スケート用ワンピースには同部ユニホーム胸のロゴ「Sarabetsu」をあしらった。田村校長は「志を大事に目標を高く持ち、可能性にチャレンジしてほしい」と激励する。学校の期待も受ける高田君は「全国大会でも活躍できる選手を目指したい」と日々の鍛錬を続けている。(小寺泰介)

関連写真

  • 更別農業高校初のスピードスケート選手になった高田君(左)と田村校長。ワンピース右足部分に「Sarabetsu」の文字が光る(金野和彦撮影)

    更別農業高校初のスピードスケート選手になった高田君(左)と田村校長。ワンピース右足部分に「Sarabetsu」の文字が光る(金野和彦撮影)

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