薬物依存経験者人生を歌に乗せ語る
【音更】自分の人生の物語を語りと歌で伝える「セルフ・ストーリー・オペラ」が21日、木野コミセンで開かれ、薬物依存からの回復を支援するNPOとかちダルク理事長の宿輪龍英さん(50)が自身の薬物依存体験などを語った。
同オペラはミュージシャンや作家として活躍するAKIRAさん(54)=栃木県在住=が取り組む表現方法。苦しい人生を送ってきた人が体験を語り、それに合った歌をAKIRAさんが歌う。
宿輪さんはこの日、両親の離婚で寂しく過ごした幼少時代から語り始め、寂しい自分を忘れるために薬物にのめり込んで行った中学生以降の歩みを紹介。廃人同様にまで落ち、服役を繰り返し、回復を応援してくれた周りの人を裏切り続けてきた後悔を語った。
宿輪さんの語りに合わせてAKIRAさんが、人間の弱さや醜さを認め、慈しむような歌を熱唱。約80人の観客は自分の人生に重ね合わせながら聴き入り、会場のあちこちからすすり泣く声が漏れた。
宿輪さんは2000年にダルクに出合い、薬物から回復。「仲間に手を差し伸べることは、どん底まで落ちた私にしかできない。初めて自分の生きがいを見つけた」と今の心境を語り、「暗闇の向こうに必ず光があると信じている」と結んだ。(丹羽恭太)