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十勝バス 交通事故防止へ声掛け

「左右の車に注意して渡ってくださいね」。降車する乗客に声を掛けるコミバス運転手(音更町の共栄コミセン前、塩原真撮影)

 【音更】高齢歩行者の交通事故防止に向け、十勝バス(帯広)は音更町内で町の委託を受けて運行するコミュニティバス(コミバス)で、乗客降車の際の「声掛けマニュアル」を作成し、活用を始めた。コミバスを活用し、町とバス会社、帯広署が協力する道内でも初めての取り組み。帯広署は同署管内の他の自治体にも同様の連携を求めており、今後、広がりを見せそうだ。

 「左右の車をしっかり確認して渡ってください」。10月下旬、音更町の「共栄コミセン前」の停留所でコミバスの運転手が降車する客に注意を呼び掛けた。バスを降りた町内の原田幸子さん(85)は「スーパーに行くために渡る道路は交通量が多くて怖い。(声掛けで)より意識するようになった」と十分注意しながら車道を渡り、近くの商業施設へ向かった。

 道警によると、昨年度の道内の交通事故死亡者は169人で、このうち65歳以上の高齢者は4割以上の75人。帯広署管内でも死亡者12人中8人が高齢者で、うち4人が歩行中に事故に巻き込まれている。特に商業施設や医療機関の周辺での事故が多いという。

 これを受け、同署は比較的高齢者の利用が多く、停留所が商業施設や病院に近いコミバスに着目。コミバス、あいのりタクシーを運行する署管内の4つの自治体(帯広、音更、芽室、幕別)と、運行5社の担当者を含めた会議を10月に開催し、警察、自治体、運行会社の3者協力による事故防止対策を要請した。

 協力内容は、具体的には警察からコミバスへの声掛け要領のアドバイス、コミバスから自治体への危険交差点や高齢者見守り情報の提供、自治体から警察への各種安全運動への協力などを予定している。

 十勝バスはもともとコミバス運転手が独自に乗客に声掛けをしていたが、これらを統一化。例えば「信号のある横断歩道を使ってください」「駐車場から飛び出て来る車に気を付けてください」など、停留所周辺の交通状況に応じた声掛けマニュアルを10月下旬から運転手が携帯し、運行している。

 現在、マニュアルの活用は音更町のみだが、同社では「他地域でも利用を広げていきたい」(若森克芳保安教育課長)考え。同署の蔵田交通一課長は「コミバス、自治体、警察の3者連携の交通安全対策は道内で初めて。この取り組みを充実、定着させ、十勝の交通死亡事故撲滅につなげたい」と話している。
(高津祐也)

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