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物産展中止「死活問題」 十勝の事業者 新型コロナ

物産展の相次ぐキャンセルで、行き場を失った食品の在庫(大望)

 新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、3月以降に全国各地で予定されていた北海道物産展が相次いで中止となり、十勝管内の食品を中心とする出展業者にも大きな影響が及んでいる。中には数千万円規模の損失を受けた事業者も。行き場を失った食品の在庫はセールで処分しているが、「会社存亡の危機」との悲鳴が聞かれる。

 北海道物産展は3~5月と9~11月、全国各地の百貨店や食品イベントで開催される人気の催事。政府によるイベントの中止・延期、縮小要請を受けて各地の物産展も見直され、帯広物産協会によると3月は、予定されていた約30件の物産展がキャンセルとなり、2~3件の開催にとどまる見込みだ。

 野菜フレークを販売する大望(幕別町)は、3月以降の催事20件が中止に。損失額は約5000万円にも上り、「死活問題」と漏らす。百貨店の催事では3袋分(3240円)の価格で4袋を提供するサービスを展開しており、来月末まではオンライン上で、催事と同様の価格でセールを行う。

 堀之内隆社長は「30年近く催事に出品しているが、この規模のキャンセルは初めて。少しでも早い終息を願いたい」と語る。

 トヨニシファーム(帯広市)は催事や飲食店への卸しが経営の約6割を占める。催事のキャンセルに加えて飲食店も苦境に陥り、ダブルパンチとなっている。小倉広樹専務は「催事用に準備している商品が行き場を失っている。ホームページ上でハンバーグやカルビ串などは割引価格で販売している」と話す。

 自社の乳製品を出品してきた、いちまるグループの十勝ミルキー(帯広市、加藤祐功社長)は、3~5月開催分の25件ほどが中止に。この時期は年間売り上げの半分を占めており、製造体制も縮小を余儀なくされた。野原英雄顧問は「北海道から人が来ることが嫌がられているようだ。百貨店のホームページでネット販売を立ち上げられないか、提案している。少しでも状況を打開したい」とする。

 チーズ工房NEEDS(幕別町)は予定していた3件の物産展が中止に。直営店やネットサイトで限定200個の特別セールを実施したところ一時欠品状態になった。セールを周知するフェイスブックの投稿を各地の顧客がシェアし、沖縄からの注文もあったという。磯部公児工場長は「食品ロスを出さないめどが立った」と胸をなでおろす。近く、第2弾のセールを予定している。

 帯広物産協会は「今後1~2週間の影響を見て、ゴールデンウイーク(GW)前後の開催の可否を判断する主催者は多い。本来ならGWは開催数が多く、同じ傾向が続けばより一層厳しくなる」と話している。(本田龍之介、佐藤いづみ、澤村真理子)

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