十勝毎日新聞 電子版

Tokachi Mainichi News Web

「幻の橋」模型完成 崩れや湖底 精密に保存 ひがし大雪自然センター

制作したタウシュベツ川橋梁の模型と河田代表

 【上士幌】崩壊が進むタウシュベツ川橋梁(きょうりょう)を後世に伝えようと、NPO法人ひがし大雪自然ガイドセンター(河田充代表)はインターネットで資金を募るクラウドファンディング(CF)を活用し、3Dデータを使って精密に再現した模型を制作した。町内の郵便局と公共施設に展示する考えで、河田代表は「模型が上士幌の歴史を知るための入り口になれば」と話している。

 資金面などから修繕も難しいことから、現在の姿を残すため模型を作ることを考えた。

 CFサイト「マクアケ」を活用。橋のミニチュアなどを返礼品として寄付を呼び掛けたところ、約2カ月間で道外を中心に約300人から、150万円の目標額を上回る約220万円が集まった。

 模型は実物の150分の1の大きさで、長さは1メートル。3Dプリンタで石こうを加工して作った。コンクリートからむき出しの鉄筋はさびさせた銅線を使い、コンクリートのくぼみや湖底に生える草木も細部まで精巧に作り込んだ。二つ制作し、費用は展示ケースを含め115万円。

 模型を制作するために必要な3Dデータは、建設コンサルタント会社に委託して作成。雨量が少なく湖の水位が低かった昨年、ドローン(小型無人飛行機)や特殊なレーザーを使ってミリ単位の測量を行った。データとCF資金を元手に札幌の情報システム会社に制作を依頼し、約1カ月かけ今月完成した。

 CFは目標額を超えたものの、返礼品の制作などで費用が掛かり、約20万円の赤字だったという。それでも河田代表は「橋はいわば上士幌の黄金時代を見つめてきた生き証人。その歴史的な価値を伝えることの意義は大きい」と力を込める。

 作成した橋梁の3Dデータは今後、営利目的ではない外部団体に学習教材用などとして提供していくことも検討する。

 問い合わせは同センター(01564・4・2261)へ。(安倍諒)

<タウシュベツ川橋梁>
 全長130メートル、高さ約10メートル。旧国鉄士幌線の橋の一つで、湖の水位によって姿を現す「幻の橋」として人気を集める。ただ、水没の繰り返しなどで近年はコンクリートの劣化が激しく、一部で崩落が確認されている。

関連写真

  • 制作したタウシュベツ川橋梁の模型

    制作したタウシュベツ川橋梁の模型

  • 制作したタウシュベツ川橋梁の模型と河田代表

    制作したタウシュベツ川橋梁の模型と河田代表

  • 制作したタウシュベツ川橋梁の模型

    制作したタウシュベツ川橋梁の模型

更新情報

帯広レスリングクラブの野口と荒川全国V、国際大会出場決める ジュニアクイーンズカップ

紙面イメージ

紙面イメージ

4.28(日)の紙面

ダウンロード一括(82MB) WEBビューア新機能・操作性UP

日別記事一覧

十勝の市町村

Facebookページ

記事アクセスランキング

  • 昨日
  • 週間
  • 月間

十勝毎日新聞電子版HOME