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天売の猫、十勝で人との共生目指す

天売島からやって来た「天」。帯広市内の「Wish」で暮らし、現在は体を触れさせるほどになった

 野良猫が海鳥を襲うなどして問題となっている天売島(留萌管内羽幌町)から2匹の猫が十勝にやって来て、人との共生を目指している。4、5歳の雄で、出身地にちなんで「天」「ウリ」と名付けられた。まだまだ野性が抜けず前途は多難だが、関係者は2匹がいつか人に慣れることを信じて世話を続けている。

 天売島はオロロン鳥(ウミガラス)やウミネコなど多くの海鳥の繁殖地として知られる。一方で、野生化した猫が増え、海鳥を襲ったり、畑を荒らしたりするなどの被害が問題になっている。同町は2012年に制定した「天売島ネコ飼養条例」に基づき、飼い猫の不妊去勢手術やマイクロチップ挿入を推進。14年からは野良猫の捕獲や島外搬出を進めている。

 十勝では昨年、帯広の中川動物病院が2匹を引き取った。ただ、2匹は完全な野生だったとみられ、人に慣れる様子はなかったという。そこで、市内で猫カフェ「Wish」(東2南2)を運営し、捨て猫の保護活動を手掛けるNPO「猫たちを守る十勝Wishの会」(原田美加代表)が12日に引き取った。

 現在、同会では約70匹の猫を世話している。道獣医師会や同病院の協力で、2匹の医療費・餌代などは掛からないものの、野生だっただけに面倒を見る負担は大きい。それでも原田代表は「十勝で猫の保護活動をしているのは当会だけ。順化にはある程度自信があるので、少しでも協力できれば」と話す。

 

カフェのゲージで過ごす「ウリ」。野生が抜けず、近づく人を威嚇する

2匹は現在、カフェ奥のケージで過ごす。「天」は既に原田さんに体を触らせるほどになっているが、「ウリ」は人が近づくと威嚇し、餌も食べないという。これまで700匹余りの猫を世話し、600匹近くを新しい飼い主の元へ送り出してきた原田代表をして、「今までで一番手ごわい」と言わしめる。原田代表は「時間はかかるが、何とか心を開かせてあげたい」と、根気強く2匹と付き合っている。
(丹羽恭太)

 天売島の猫 捕獲された野良猫は、道獣医師会の協力でワクチン接種や不妊去勢手術などが施された後、各地の動物保護団体などで順化(人に慣らすこと)し、新しい飼い主に譲渡される。猫を殺処分せずに共生を目指す取り組みは、環境省の「人と動物が幸せに暮らす社会の実現プロジェクト」のモデル事業にも認定されている。

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