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スイートコーン害虫は適期防除でYES!clean 栽培も可能

道総研 上川農業試験場 研究部 生産環境グループ
道総研 道南農業試験場 研究部 生産環境グループ

1.はじめに
 スイートコーンではムギクビレアブラムシ(以下アブラムシ)、アワノメイガといった害虫が以前から発生していたが北海道における試験事例はなかった。また近年、道外からの飛来性害虫であるオオタバコガによる雌穂の食害や、ヨトウガによる葉の食害が報告されてきており、これらに対する防除対策が求められている。そこで、YES! clean 栽培にも利用できる、これら害虫に対する防除法を検討した。

2.試験の方法
 アブラムシに対し有効な薬剤、適切な防除時期について調査した。また、アワノメイガ、オオタバコガ、ヨトウガの発生実態を調査した。さらに、アワノメイガ、オオタバコガに対し有効な薬剤、防除時期について検討を行った。そして、これら害虫に対する防除の体系化について検討した。

3.試験の結果
1 )アブラムシに対して雌穂被害抑制効果が認められたのは、ネオニコチノイド系薬剤(アセタミプリド液剤、イミダクロプリド水和剤DF、チアメトキサム水溶剤SG)、次いで有機リン系薬剤(アセフェート水和剤)であった(データ省略)。合成ピレスロイド系薬剤(シペルメトリン)は上川農試場内試験では効果が低く、地域によっては注意が必要と考えられた。散布後、効果が低い場合は、必要に応じて別系統の薬剤による防除を行う。
2 )薬剤散布2回とした場合、雌穂寄生抑制効果が最も高かったのは、絹糸抽出期(抽糸期)とその7~10日後の散布であった(図1)。
3 )アワノメイガは、年2回の発生であることが明らかとなった(図3)。1回目(越冬世代)の成虫発生ピークは6月下旬~7月中旬、2回目は8月下旬~9月上旬であった。被害は6月下旬から始まり、7月中旬以降拡大した。7月上旬と中旬の10日間隔2回散布は、その後の被害も抑制し、有効であった(図2)。
4 )アワノメイガによる茎・雄穂被害防止に対してフルベンジアミド水和剤DF、カルタップ水溶剤およびペルメトリン乳剤が効果があり、クロラントラニリプロール水和剤F は茎・雄穂に加えて雌穂被害防止効果も認められた。
5 )オオタバコガ成虫の初発は5月下旬~9月中旬と、年次・ほ場間で大きくばらついた。全体をまとめてみると、7月から徐々に誘殺が増え、8月以降誘殺数が増加する傾向にあった(図3)。幼虫は7月中旬~9月中旬に確認された。
6 )室内検定で、オオタバコガ5~6齢幼虫に対して効果が認められた薬剤は、フルベンジアミド水和剤DF、エマメクチン安息香酸塩乳剤、レピメクチン乳剤およびクロラントラニリプロール水和剤F であった。
7 )ヨトウガの1回目(越冬世代)の成虫発生ピークは6月下旬、2回目(第一世代)のピークは8月中旬~9月上旬であった(データ省略)。幼虫による茎葉の食害は2014年6月下旬にのみ確認され、他作物で被害が生じるような多発時のみ、スイートコーンでも防除が必要と考えられた。
8 )アブラムシに対する防除と鱗翅目対象の防除を組み合わせた体系は、アブラムシとアワノメイガによる被害の抑制に有効であった(表1)。
9 )8、9月どりスイートコーンの害虫防除法をとりまとめた(表2)。これは、殺虫剤使用回数を6回以内とすることにより、YES! clean 使用基準に適合する。



詳しい内容については、次にお問い合わせ下さい。
道総研上川農業試験場
電話(0166)85-2200  E-mail:kamikawa-agri@hro.or.jp

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