特殊詐欺被害は、被害者がだまされていることに気付けないままお金を支払い続けることで、被害が甚大になる傾向がある。詐欺被害を未然に防ぎ、被害を最小限に食い止めるには-。釧路弁護士会会長の佐々木涼太弁護士(45)=帯広=に、近年の詐欺被害の現状や、弁護士相談の有用性などについて聞いた。
帯広市内の無職男性(56)は4年前、仮想通貨とFXの投資名目で約1800万円をだまし取られた。被害の1年後、経営していた会社は倒産し、そして自己破産。今は知人から月15万円ほどの援助を受けて日々をつなぐ。特殊詐欺被害が男性の人生も生き方も大きく沈ませた。「自分は大丈夫との思い込みが、取り返しのつかない事態を招いてしまった」。男性は巧妙な被害手口について重い口を開いた。
帯広シティーケーブルは6月1日から、新番組「帯広警察署インフォメーション」を始めた。帯広警察署管内であった特殊詐欺の実例を同署生活安全課の山下達也巡査部長が説明。被害を未然に防いだ事例は紙芝居でわかりやすく伝えた。
帯広信用金庫は3月18日、特殊詐欺の被害防止のため出前講座を開催している。講師を務めたおびしんビジネスサービス(OBS)の松井浩行常務が具体的手口を分かりやすく紹介した。
帯広署は3月8日、イオン帯広店で特殊詐欺のVR(バーチャルリアリティー)体験会を開いた。ゴーグルを装着した来店客らが、バーチャル空間で詐欺の手口などを疑似体験するなど、巧みな誘導や周到な手口に引っ掛からないよう学んだ。
警察官や銀行協会職員などを名乗り、「キャッシュカードが不正に利用されているので使えないようにする」などと言ってキャッシュカードを準備させ、隙を見てポイントカードなどとすり替えて盗み取る手口。
サイト運営会社や携帯電話会社などを装い「未払いの料金がある。今日中に払わなければ裁判になる」などとメールやSNSで通知したり、パソコンなどでインターネットサイトを閲覧中に「ウイルスに感染」と表示させて、ウイルス対策のサポート費用を口実として、金銭などをだまし取る手口。