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動物園のあるまちプロジェクト

特別編

おびひろ動物園の魅力アップを考えるフォーラム


 動物園の現状や未来を話し合う「魅力アップを考えるフォーラム」(2019年1月26日、とかちプラザ)では、柚原和敏園長(おびひろ)、坂東元園長(旭川旭山)、加藤修園長(札幌円山)、古賀公也園長(釧路市)、伊勢伸哉館長(小樽水族館、日本動物園水族館協会副会長)の5人によるパネルトークが行われた。どの自治体も財政は厳しいことから「動物が見られるだけで動物園の存在理由がある時代ではない」(板東園長)と苦しい中でも、存在意義を市民らで共有する必要が挙げられた。パネルトークの要旨を紹介する。


パネルトーク 15分48秒(収録 約50分)



動物園の課題は

伊勢館長「動物を見て、来園者が彼らの暮らしの環境に対しての窓が開くかどうか。日本は見世物的に檻に入っていて、動物そのものの行動、暮らしができていなかった。動物福祉を考えていけなければいけない」

加藤園長「動物たちだけでなく、生息地や野生の状況などその先を見てほしい。かわいい、癒やしだけでなく、もうちょっと違うことを期待してもらえるよう我々も情報発信していかなければいけない」

板東園長「来園者と園の思いがリンクしていくことが必要。自分たちだからこそ発信できるものをどう届け、共感してもらえるのか」

旭山動物園坂東園長の講演 23分35秒(収録 約58分)

(左から)伊勢伸哉館長(小樽水族館、日本動物園水族館協会副会長)、加藤修園長(札幌円山)、坂東元園長(旭山)、古賀公也園長(釧路市)

各園の特色や今後の動物園像について意見を出し合った

現状課題やこれからの方向性について語る旭山動物園 板東元園長

飼育動物について今後の展望

伊勢館長「ラッコが今全国で5、6頭。子どもが成長の間に家族から学ぶ経験がないと、交尾にあたれず繁殖はうまくいっていない。海外のうまくいっている施設と協会ぐるみで連携して交換、導入していく」

加藤園長「野生のホッキョクグマを守りたい。生息地のカナダの保全に円山もかませてくれといっている。そうした活動の仲でいずれ保護された個体をこちらで保護するなど、新たな血を入れていかないといけない。動物福祉も大切で、覚悟が必要になる。約170種の動物も今の基準では飼育していくのが難しい種もいる。今いる動物は大切にしながらその後入れるかどうかの判断は慎重にしなければならない」

板東園長「その園にしかいない動物を飼育するとその動物の未来がなくなってしまうので、どこも同じような動物がいるような状況になってくると思う。その中でどういう切り口で動物を伝えるのかがその動物園の個性になる」

古賀園長「繁殖に成功しているビーバーは血統の関係で国内からは一緒にできない。ただ古い獣舎なので欧米の基準に合わず、受け入れられない。国内でいかに繁殖させて飼っていくのか。園館が協力し、同じ目標に向かっていかないといけない。また国内のみならず、世界の動物園の中に入っていくことも大切だ」

魅力アップ検討委員会経過報告 10分07秒(収録 約20分)

市の「魅力アップ検討委員会」で挙がった意見を報告するおびひろ動物園 杉本美紀副園長

未来のおびひろ動物園の在り方にを真剣に聞く参加者

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