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動物園のあるまちプロジェクト

第11回

中山大志さん

飼育展示係/エゾタヌキ、キタキツネ、エゾシカ、ゴマフアザラシ、アライグマ

エゾタヌキの魅力を伝えて



 私の担当は北海道の野生動物のエゾタヌキなどです。私たち道民の周りには多くの野生動物が住んでいますが、その生態は身近であるがゆえに気が付かないこともあると思います。特にエゾタヌキは森林性で、森の奥でひっそりと住んでいるため帯広ではなかなか見かけることはありません。

 食肉目イヌ科に属し、北海道を主な生息域とします。イヌ科ゆえ、飼育面でも手がかかりません。特徴はずんぐりむっくり、性格は慎重。足は短く走ることや狩りは得意ではなく、野生では木の実や虫、動物の死骸を食べて暮らしています。動物園では、栄養面を考えて魚なども加えています。

 外敵に襲われたときに「死んだフリ」をして相手を油断させ防衛することもあります。また、「ため糞(ふん)」といって、複数の個体で同じ場所をトイレとして使用する習性も。これは、お互いのコミュニケーションや縄張りを示すもので、ある意味「掲示板」的な役割も果たしています。

 穏やかな性格にもかかわらず、「カチカチ山のタヌキ」「化けタヌキ」「タヌキおやじ」などと言われるのはなぜでしょう。これは、畑に悪さをしていたアナグマやイタチなど、タヌキに似た生き物との区別が昔はつきにくく、「悪さをする生き物=タヌキ」と悪いイメージがついていたからではという一説もあります。

 このイメージを今からでも少しずつ変えていきたいと思います。まずは北海道でいちばん、タヌキの魅力を伝えることができる動物園に。そしていずれ、日本全体にもその生態を伝えていきたいと考えています。

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