2021.7.21
命の管理~未来へつなぐ~ 第1回
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シロフクロウやビーバーの子どもが産まれ、アメリカバイソンのペアが他園から仲間入り-。おびひろ動物園(柚原和敏園長)では昨年から今年にかけて、明るい話題が相次いだ。バイソンは数年後の赤ちゃん誕生も期待されている。
一方、同園で飼育している動物の種類と個体数は徐々に減っている。1972年度の117種883個体をピークに、2019年度は66種334個体と大幅に減少。ゾウやカバ、ラクダなど、かつての人気者たちが姿を消していった。
動物園の役割は大きく4つある。「レクリエーション」「教育」「調査研究」の3つに加え、「種(しゅ)の保存」だ。「種の保存」は動物が絶滅しないよう守り、野生動物の保全を行っていくこと。おびひろも所属する日本動物園水族館協会(JAZA)は動物を個体ごとに血統登録し、ペアリングのために動物園間で貸し借りする「ブリーディングローン」など繁殖による種の保存の取り組みを計画的に行っている。
おびひろにはチンパンジーやゴマフアザラシ、アミメキリンなどのペアがいる。このうち、動物に配慮して繁殖制限を行う例もある。これまでに3頭を出産したゴマフアザラシの「モモ」(雌、28歳)は高齢になり、出産で体に負担をかけないよう繁殖制限を行っている。毎年、春は繁殖の時期だが、今年は相手の「カイ」(雄、28歳)を別部屋に隔離した。発情時期が過ぎれば家族で再び過ごせるという。
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一方、繁殖が動物園側の事情で難しく、制限せざるを得ないこともある。
おびひろ動物園の現状について、柚原園長は「意図的に減らしている」と厳しい事情を話す。背景には複数の要因があり、動物の高齢化という動物への配慮のほか、「繁殖しても獣舎の余裕がなく、他の動物園でも受け入れられないことから行き先がない。加えて、おびひろは繁殖に適していない獣舎も多い」と、建設から月日がたち老朽化した施設が多い現状を話す。
こうした背景から、避妊薬を飲ませたり、鳥類の場合は産んだ卵を取り上げることもある。命の誕生を手放しに喜びたい気持ちもあるが、「動物の寿命もさまざま。未来を見据えて飼育しなければいけない」(柚原園長)という動物園側のジレンマが見えてきた。
文/松田亜弓、映像/村瀬恵理子
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