探索行動、驚きと喜びに~あのね、こどもはね(20)滝澤真毅氏
大きなスーパーマーケットの店内に、お菓子の特設売り場が設置されていました。2歳になるかならないかくらいの男の子が一人でトコトコとその売り場に近づいてきて、あるお菓子を左手で指さして「うんち」とつぶやきました。指さしていたのは、何のお菓子なのか、うんちの形をしたパッケージ。誰かに伝えようとしているというよりは、「うんち」を発見してひとりごとを発した感じです。
私が近くでそのようすを見ていると、その子は私の方を見ながらまた「うんち」を指さして、「うんち」と言いました。今度は、どうやら私に「うんち」発見を教えてくれたみたいです。私は「そうだねえ、うんちだねえ」と答えました。そうしたら、その子は今度は「あんぱんまん」と言いました。よく見ると、その子は右手にアンパンマンの絵のついたお菓子を持っているのでした。私はそのお菓子をのぞき込んで「おお、アンパンマンだ」と答えました。
そこに、その子の父親らしい人が近づいてきました。お父さんの顔を見たら、知らない人と話したことが急に恥ずかしくなったのか、その子はお父さんの方に駆けていって抱っこをせがんでいました。
保育所の1、2歳児のお散歩に同行するとよくわかりますが、この時期の子どもって、とにかく目につくものに何でも興味を持って立ち止まって、見たり触ったりします。ちょっとしたことでも指さして教えてくれたりします。大人からすると、触ってほしくないものに触ったり、行動にいちいち時間がかかったりして、大変という場合も多いでしょう。でも、子どものこのような探索行動には、世界を発見する驚きと喜び(「センス・オブ・ワンダー」)が満ちています。
(滝澤真毅)
私が近くでそのようすを見ていると、その子は私の方を見ながらまた「うんち」を指さして、「うんち」と言いました。今度は、どうやら私に「うんち」発見を教えてくれたみたいです。私は「そうだねえ、うんちだねえ」と答えました。そうしたら、その子は今度は「あんぱんまん」と言いました。よく見ると、その子は右手にアンパンマンの絵のついたお菓子を持っているのでした。私はそのお菓子をのぞき込んで「おお、アンパンマンだ」と答えました。
そこに、その子の父親らしい人が近づいてきました。お父さんの顔を見たら、知らない人と話したことが急に恥ずかしくなったのか、その子はお父さんの方に駆けていって抱っこをせがんでいました。
保育所の1、2歳児のお散歩に同行するとよくわかりますが、この時期の子どもって、とにかく目につくものに何でも興味を持って立ち止まって、見たり触ったりします。ちょっとしたことでも指さして教えてくれたりします。大人からすると、触ってほしくないものに触ったり、行動にいちいち時間がかかったりして、大変という場合も多いでしょう。でも、子どものこのような探索行動には、世界を発見する驚きと喜び(「センス・オブ・ワンダー」)が満ちています。
(滝澤真毅)
<たきざわ・まさき>
帯広大谷短期大学社会福祉科非常勤講師、名寄市立大学保健福祉学部社会保育学科教授。保育士、臨床発達心理士。専門は発達と保育の心理学。北海道大学教育学部出身。釧路短期大学、山形短期大学(現・東北文教大学短期大学部)、帯広大谷短期大学を経て、2025年4月から現職。保育現場での研修や相談、自治体の乳幼児健診の発達相談なども担当している。
あのね、こどもはね
帯広大谷短期大学の5人の先生による寄稿。社会福祉科子ども福祉専攻 青木謙介教授(専攻長)、同 高橋由紀雄准教授、同 前田恵専任講師、同 滝澤真毅非常勤講師、看護学科 嶋田純助教。