十勝毎日新聞電子版
Chaiでじ

2025年7月号

特集/夏本番!旨辛メニュー

つらい雪かきも造形遊びに~あのね、こどもはね(13)高橋由紀雄氏

雪かきで作った迷路で遊ぶ筆者と息子

 帯広に赴任する前は、釧路で造形教室と美術の講師などをしていました。朝から出勤ということもなく、割と時間が自由で、幼かった息子とよく遊んでいました。今はもう18歳で、春からは理系大学に進学しますが、中学校で部活が始まるまでは、造形教室にも交ざり、遊びや造形的なことをいろいろ体験していたと思います。

 先日の記録的な大雪は、生活への影響も大きく大変でしたが、さまざまなことを遊びに変えて、子どもと一緒に楽しむように意識していたことを思い出すきっかけとなりました。

 釧路は雪が少ないのですが、珍しく大雪の予報があったので早起きをしてみたら、思っていたより少ないことがありました。そこで写真のような迷路仕立ての変な雪かきをしてみました。幼稚園に行くために家を出た息子は、除雪の仕方がおかしいと気づき、細い道を慎重に行き来して迷路と分かって、しばらく楽しんでくれました。

 その後、登園の荷物を持った私が加わり、迷路状の通路を敵から逃げながら進んでいく昔のテレビゲームのような遊びに展開したり、通路で出会ったらじゃんけんをして、負けた方が反転するゲームに変えたりとしばらく遊んでいました。

 造形的な活動や遊びもそうですが、同じ素材や道具・遊具でも、それをどう捉えて子どもとどう楽しむかを考えることが大事なように感じます。積み木やブロックも単純な遊びと思われがちですが、本気で遊んでくれるじいちゃん(建設業の義父)と一緒に作ると、その楽しさがより理解できるようで、集中して遊ぶようになりますし、一人でも再現を試みて遊んでいました。

 さいころや花札などで大人と本気で遊ぶ場面も多かったというのもありますが、数量への興味や立体把握、空間認識力は遊びを通して獲得し、立派な理系になったのだなと思います。

 大雪は大変ですが、雪かきも造形遊びとして見直した場合、子どもと十分楽しめるものになるかもしれません。(高橋由紀雄)

高橋由紀雄先生


<たかはし・ゆきお>
 帯広大谷短期大学社会福祉科こども福祉専攻専任講師、木育マイスター。北海道教育大学釧路校出身、京都芸術大学大学院芸術研究科(通信教育)芸術専攻に在籍中。釧路で美術関連講師やグラフィックデザイン業と並行し、くしろせんもん学校で保育者養成に関わり2020年から現職。その他、美術館などの講座やワークショップ講師、木育楽器を開発。