十勝毎日新聞電子版
Chaiでじ

2024年11月号

特集/レトロかわいい十勝

夜の高熱 体温調節が未熟だから~あのね、こどもはね(3)小林謙一氏

19年前の筆者の我が子たち

 みなさん、こんにちは。看護学科で小児看護学を担当している小林謙一と申します。昨年4月から看護学科が増設され、看護教員として着任いたしました。新人看護師の頃から子どもに興味があり、「小児科のナースマンになりたい!」と小児看護一筋で経験を積んできました。そこで出会った子どもたちや保護者のみなさんとの思い出は、語り切れないくらいほどたくさんあります。このシリーズを通して、子どもの病気に悩む保護者に共感し、少しでも勇気づけられたらと考えています。

 さて、子どもはどうして真夜中に体調を崩すのでしょうか。夜中、突然に機嫌が悪くなり、大泣きしているところを「どうしたの?」と抱きかかえると、体がすごく熱いなんてことを経験したことありませんか? 心配になったお母さん、お父さんは病院を探したり、準備したりと大慌てになりますよね。ましてや自分がつらいことを言葉にできない、痛いのか、苦しいのかさえ伝えられずに、ただただ大泣きして訴えている我が子。これはただ事ではないなと思うのは当然のことなのです。

 子どもが夜中に高熱を出す理由には、体温調節が昼間よりも夜間に崩れやすいということがあります。体内の生物時計は、夜間に体温を下げるようにプログラムされていますが、小さな子どもの脳は発達が未熟であるため、体温調節ができずにすぐ高熱を出してしまうというわけなのです。

 熱があることが悪いわけではないし、高熱だからと言って重篤な病気であるとは限りません。上手に解熱剤を使い、熱が下がったところで水分を飲ませてあげることで、朝まで様子をみることができます。どうしても夜間に心配なときは、救急外来に電話するとアドバイスしてもらえますよ。

 こうした子どもの特徴を知ることで、保護者は慌てずに落ち着いた対応ができ、子どもを安心させることにつながるのではないでしょうか。

小林謙一先生


<こばやし・けんいち>
 帯広大谷短期大学看護学科教育助手、看護師、日本看護協会小児救急看護認定看護師。専門は小児看護学、基礎看護学。北海道医療大学看護福祉学部看護学科出身。星槎大学大学院教育学研究科教育学専攻修士課程修了。JA北海道厚生連帯広厚生病院を経て2023年4月から現職。短大の仕事のほか、保育士や養護教諭の研修会講師を担当。50歳。