十勝毎日新聞電子版
Chaiでじ

2025年11月号

特集/おいしいチーズがある幸せ

Chai法律相談(203)「遺言書で遺産をもらうはずの相続人が先に死亡した場合は?」

【質問】
 父は自宅不動産を長男に、マンションを二男に相続させるという遺言を残して死亡しました。ところが、二男は父よりも先に亡くなってしまいました。二男には子どもがいますが、マンションは誰が相続することになりますか。

【回答】
長男と二男の子との間で遺産分割協議をして決めることになります。

 本件では、父よりも先に二男が死亡したことから、長男と二男の子が相続人となります。このように、二男の子(孫)が相続人になることを代襲相続といいます。「マンションを二男に相続させる」という遺言は、遺言の効力発生時に二男が死亡しているので、代襲相続人である子どもがマンションを相続するようにも思えます。

 しかし最高裁判所は、遺言者が代襲相続人に遺産を相続させる意思を有していたとみるべき事情がない限り、遺言の当該部分は無効となると判断しています。したがって、遺言書の「マンションを二男に相続させる」という部分は、特段の事情のない限り無効となり、相続人である長男と二男の子との間で遺産分割協議を行うことになります。

 なお、長男は、遺言により自宅不動産を相続していますので、それが法定相続分を超えているかなどを参考に遺産分割協議を行うことになります。本件のように例外的な事案は、専門家に相談してください。

今回の回答にご協力いただいたのは
[中野尊仁 弁護士]

事務所/太陽総合法律事務所
帯広市西5条南24丁目7-1
Tel:0155・22・0033


※質問・回答はChai編集室の責任でまとめています。

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※フリーマガジン「Chai」2025年11月号より。